オンラインで防災訓練 飯能市前田自治会 備品確認や消火器使用方法も

動画の確認を行う利根川会長(右)と武田さん

 新型コロナの影響で大勢の人が集まりにくい中、飯能市前田自治会(利根川浩司会長)内の前田自主防災会は、オンラインによる防災訓練を実施した。

 いざという時に備え、「自主防災組織について」「災害が発生した際にどうしたらいいのか」「自治会館に常備してあるものの紹介」「消火器の使い方」を動画にまとめ、それをCGキャラクターが解説。

 時間や場所にとらわれることなく視聴出来ることから、これまで訓練に参加していなかった人々にも防災に対する意識を高めてもらいたいとの期待もあるという。

 コロナ禍以前は、毎年2月に自治会館に関係団体が集まり実施していたが、感染拡大に伴う三密回避のため、この2年間は地域で防災訓練を開くことが出来なかった。そうした中、防災意識を高めてもらうための取り組みが実施出来ないかと考え、動画による防災訓練を企画した。

 制作にあたっては市の危機管理室から資料提供を受けたり、首相官邸の防災の手引を参考にして10分程の動画にまとめ、前田自治会のYouTubeチャンネルで公開。

 同チャンネルは、同自治会に加入している人々が災害時に円滑に行動出来るよう、災害時に役立つ情報を発信するためのもので、今回の動画は専用のQRコードを読み込んだ人のみが視聴出来る限定公開となっている。

 QRコードは、自治会に加入している約840世帯を対象に4月末、回覧されている。

 動画では、自主防災組織について「大規模災害が発生した際に人々が的確に行動し被害を最小限に止めるため、日頃から地域内の安全点検や住民への防災意識の普及・啓発、防災訓練の実施などを行う組織。

 実際に災害が発生した際には、初期消火活動、被害者の救出・救助、情報の収集や避難所の運営を行う」と紹介。

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を事例に出し、「道路・鉄道・電気・ガスなど都市基盤の崩壊や市職員自身の被災から、発災直後は防災関係機関の活動が十分に機能しなかった」として、地域住民自らが身の安全を守り、避難行動や自主的に出火防止、初期消火、被災者の救済・救護、避難所運営などの防災活動を行わざるを得なくなるため、地域住民が日頃から防災についての知識を付けておく必要があることを訴えている。

 続いて、災害が起きた時は、落下物・転倒物に注意して身近なもので頭を守る、状況に応じて落ち着いた行動を取ること。また、災害に備え家庭で取り組むべき主な対策として、家具などを固定、食料・飲料の備蓄、避難場所や避難経路の確認などを挙げた。

 その後、自治会館に備えてある備品を一つずつ紹介し、その中でも油圧式ジャッキの使い方、手押し車の組み立て方法、簡易式トイレの組み立て方、消火器の使い方を映像で確認。

 常に準備をしておけるよう「首相官邸防災の手引き」「気象庁防災気象情報と警戒レベル」「飯能市地域防災計画」「飯能市土砂災害ハザードマップ」などのサイトへのリンクも盛り込んだ。

 動画での防災訓練を企画した同自治会自主防災の担当者・武田一宏さんは「災害が発生した際、自治会館に備えてあるものを確認出来るよう、自治会加入世帯の方には動画をブックマーク登録するなどして活用してもらいたい。そして、いざという時に自発的に行動できるようにしていただきたい」。

 利根川会長は「防災訓練を実施したいが出来ない状況の中、こういった形で集まらなくても実施することが出来たのは、大きな成果だと思う。災害が起きた際に被害を最小限にとどめるため、動画を何回も見直してもらい備えてほしい」と話している。