飯能駅新デザイン決定 「物語性があり独創的」
西武池袋線飯能駅駅舎のリニューアルデザインが、このほど決定した。今秋、飯能市宮沢湖周辺に、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」がオープンする事などに伴い、西武鉄道(若林久社長)は、同駅をムーミン世界に誘う玄関口に相応しいものにするため、ムーミン童話を紡ぎ出したトーベ・ヤンソンの故郷フィンランド国のデザイナーを対象に、駅舎のリニューアルデザインコンペを進めていた。このコンペは、同国独立100周年事業の一環で、同国大使館商務部の共催。
西武グループは、平成26年公表の「西武グループ長期戦略」に基づき、宮沢湖周辺エリア一帯を「緑あふれる街区を形成するエリア」と位置付け、都市交通・沿線事業を推進している。地域社会振興の観点から、同社は、メッツァ建設工事が進む同湖周辺エリアを観光拠点として、これまで以上に西武線沿線内外から観光客等を呼び込むことに取り組むと同時に、同湖周辺への交通アクセスなどに、積極的に協力する事を発表している。
同駅駅舎デザインのリニューアルも同社の戦略の一環であり、自然あふれる飯能周辺の玄関口にふさわしいものを目指している。「飯能」の要素とムーミン発祥の地・北欧フィンランドの要素を合わせ持ったデザインを駅舎内装に取り入れるため、「本物の北欧デザイン」を目標に定め、デザイナーはムーミンの感性を持つ同国人に限定した。
昨年6月から開始されたデザインコンペには、同国のデザイナー13社が参加。
審査委員会の名誉審査委員は、若林同社社長と、ユッカ・シウコサーリ同国駐日大使が務め、審査委員は、同鉄道社員、同国大使館員、特別審査員に、市、メッツァの運営会社のムーミン物語社、ディスプレイデザイン会社の乃村工藝社のそれぞれ代表が就任。
厳正な審査の結果、一次審査を通過した会社は3社に絞られ、同駅や周辺の視察も実施された、より厳しい2次審査の結果最優秀賞受賞デザインは、N.E.O.Ark(ネオ アーク)氏作のデザインコンセプト「Sykli(サイクル)」に決定した。
「自然環境のサイクルと人間の動きを対比させたデザイン。空間全体を使って、観光客も地域市民もそれぞれ行きたい方向に誘導できる環境を創ることを目指したデザイン」、という。
アーク氏のデザインが選定された理由は、コンセプトを理解したデザインだったこと、デザインからストーリー(物語)を感じること、駅のデザインとして独創的であり、社会の関心を集めるデザインだったことなどが、高く評価された。
ムーミン童話をモチーフにした「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園(市内阿須)」が今春リニューアルオープンし、メッツァを構成し、ムーミンの物語を追体験でき、複数のアトラクション施設などが建設される「ムーミンバレーパーク」のオープンも来春に控え、その世界の入口として、同駅駅舎が生まれ変わることは、多くの市民にとって朗報となる。
リニューアル工事着手は未定だが、竣工は平成31年3月頃。
また、このコンペの詳細は、同社の特設Webサイトで公開されている。
問い合わせは同鉄道お客さまセンター04・2996・2888。