全(オール)飯能野球団旗 解体家屋で見つかる

見つかった団旗。保存状態良好

 正6、7年頃から活躍し、県実業団野球大会で優勝した「全(オール)飯能野球団」と書かれた団旗が市内の住宅を解体した際に見つかり、知人を通じて飯能市野球連盟の会長を務める増田幸三さん(81)の元へ届いた。増田さんは「歴史のあるものが見つかり驚いた。この旗について何か知っていたら教えてもらいたい」と、同チームに所属していた中里光男さん(93)の自宅を訪ねた。

 全飯能野球団は県内でも熊谷に次いで古い歴史を持ち、大正12年には県実業団野球大会で優勝したほか、数々の大会でも優秀な成績を修めるなど高い実力を持ち、関東近県に知れ渡るほどのチームだったという。

 団旗は縦75センチ、横105センチで、朱色の布に「全飯能」「野球團」の文字と共に野球ボールなどがデザインされている。虫食いの後が数か所に見られるが保存状態は良好だった。

 市内の軟式野球チーム「彗星会」のメンバーだった谷澤眞砂永さんと共に中里さんの元を訪れた増田さんは、旗が手元に届いた経緯などを話し、「文字が右横書きだったので戦前のものだと思う」と団旗を広げた。

 話を聞いた中里さんは「私も見たことがない。もっと前の時代に使っていたものかもしれない」「私は中学卒業後の秋に全飯能に入った。当時は天覧山下のグラウンドで練習していた」などと振り返った。

 団旗の経緯などは不明な点も多く、増田さんは「当時は応援旗として竿に付けて振っていたのでは。中里さんの頃は、戦後すぐの時代だから、引っ張り出す余裕がなく使っていなかったとのことだが、今回このように歴史のあるものが出てきた。もう少し詳しく調べてみたい」と話した。

 長年野球に携わってきた3人が揃ったこともあり、野球談議に花を咲かせ、「再び飯能の野球が盛り上がれば」と期待した。