久子さま迎え除幕式 高麗王若光の石碑建立

高麗若光の会や関係者による除幕式

 高麗郡建郡1300年を記念した高麗王若光(こまのこきしじゃっこう)の石碑が日高市新堀の高麗神社(高麗文康宮司)境内に新たに建立され、23日に高円宮妃久子さまをお迎えして除幕式が盛大に行われた。

 久子さまは、霊亀2年(716年)に高句麗からの渡来人によって開拓された高麗郡の歴史について「近隣住民に技術を伝え共に地域を開拓したことは、善隣友好を実施した歴史の証」とし、「未来につながる善隣友好のモデルケースとして、多くの方々が興味を持って下さるよう願っている」と述べられた。

 石碑は県内を中心とする歴史愛好家で構成される「高麗若光の会」が建立したもので、高さ1・4メートル、横幅2メートル。

 表面には、「続日本紀」に記された「高麗若光に王の姓を賜う」といった内容や、東国7国に住む高麗人1799人を武蔵国に移して高麗郡を置いたとする記述の原文を刻み、裏面には「この郡を開拓した先人の遺徳と悠久の歴史に思いを馳せ、未来永劫、この地と東アジアの発展と平和を祈念する」といった石碑建立の趣旨と会員約200人の名前を刻んだ。

 除幕式には久子さまをはじめ、駐日韓国大使の柳興洙(ユウ・フンス)氏、馳浩文部科学大臣を主賓に招き、同会の朴仁作(パク・インジャク)会長、金栄振(キム・ヨンジン)理事長、名誉会長の高麗宮司、名誉顧問の松浪健四郎氏(日本体育大学理事長)、大塚拓衆議院議員、地元からは谷ケ﨑照雄日高市長、高麗1300の大野松茂理事長など多数の会員や関係者が出席した。

 除幕式や記念式典、久子さまによる記念植樹が行われたほか、記念公演としてテコンドー演武、高麗神社氏子会による獅子舞、韓国民族楽器演奏が披露された。

 久子さまは石碑や高麗郡に関する説明に熱心に耳を傾け、式典後の昼食会の席上で挨拶。

 「高句麗の地から渡ってきた1799人の高句麗人は、初代郡司に任命された若光のもと、文化と技術を持って開拓に努めた。産業を興し、人々の生活基盤を安定させ、近隣住民に技術を伝え共に地域を開拓したことは、善隣友好を実施した歴史の証」とし、「時代が下るにしたがって隣国の民族同士、心が離れていくことは好ましいことではない。1300年前に光を当て、高麗郡こそ日韓友好を象徴するものと位置づけることも有意義かと思う。高麗郡の歴史をただ過去の事としてではなく、これからの未来につながる善隣友好のモデルケースとして多くの方々が興味を持って下さるよう願っている」などと述べられた。

 高麗若光の会の朴会長は「続日本紀に記された文言を記念碑にしっかりと刻み込んだ。高麗人たちは当時の先進技術で荒野を切り開き、革新的な新産業を興し、隣接する郡との友好に心血を注ぎ、共生社会を実現した。日韓友好の歴史的な遺産としてしっかりと評価すべきと考えている。この地が未来永劫、東アジアの平和と安寧を祈願する聖地として輝き続けることを心から祈念する」。

 また、馳大臣は「このようなお祝いの会を積み重ねていくことが、朝鮮半島と我が国の関係を未来へ繋ぐものと確信している」と述べ、「次の1400年へ思いを馳せて」として「高麗神社ウグイス鳴くや若光と」との一句を披露した。

 地元を代表して谷ケ﨑市長は「高円宮妃殿下をお招きして記念碑除幕式が盛大に挙行されたことを地元市長として大変光栄に思う」とし、「先人が築き上げた大切な歴史や文化に感謝を表すと共に、これを未来に引き継いでいくことが私たちの使命。この記念碑が人々の記憶に高麗郡を再び呼び起こし、地域を愛する心と未来へ続く文化を育むとともに、多くの皆様にこの地を訪れて頂きたい」と述べた。