納税貯蓄組合設立へ 税の納期内完納めざし

 飯能市内の税理士や医師が中心となって、来月にも「飯能市納税貯蓄組合」を立ち上げる。戦後、市内で頻繁に見られた各戸を巡回して組合員が税を直接徴収するようなことは行わず、あくまでも租税の納期内完納と納税意識高揚のための関連事業を推進する。

 取り組むのは、吉島一良さんを発起人代表にして税理士や医師の面々。予定では10月3日、ヘリテイジ飯能で設立総会を催し、承認を得る。所沢税務署管内では既に入間市で組織化され、今後、狭山、所沢市でも発足の方向という。

 納税貯蓄組合は納税貯蓄組合法(昭和26年4月施行)に基づいたもの。地域や事業所などの単位で組織化でき、同法施行直後から昭和50年代後半にかけ飯能市内では各所で組合が活動、収納率向上に大きく寄与していた。

 ただ、組合員に各世帯の納税情報が洩れたり、組合に市から支給される報奨金(後に廃止)などの問題が指摘。さらには口座振替などが浸透するにつれ、同組合はしだいに廃れ、現在、市内での活動実績はほとんどない。

 計画では、組合事務局は飯能商工会議所に置かれる。市納税貯蓄組合設立趣意書(案)は次のとおり。

 昭和26年、戦後の混乱期の中、国全体の納税道義が著しく低下したため滞納が増加し、税収確保が非常に困難な状況になったことから、納税貯蓄組合法が施行され、全国各地に納税貯蓄組合が設立された。納税貯蓄組合は「日掛け、月掛け」を合言葉に組合員に納税資金の備蓄を推奨し、納期内完納の定着に大きく貢献した。しかし、口座振替等の定着や個人情報の保護の観点から全国的に納税貯蓄組合の活動は衰退し、低迷している現状にある。

 一方、私たちは戦後の混乱期の苦難を乗り越え、高度成長期を経て現在、豊かさを享受しているものの、今般の少子高齢化が進む社会情勢を踏まえると、豊かで持続可能な社会を構築し、将来世代につなげることに不安を感じている。

 将来にわたって経済成長を続け、社会全体が豊かさを享受できる社会を築くためには、医療・福祉などをはじめとするさまざまな公的サービスを提供する国及び地方公共団体が果たす役割が非常に大きいことはもちろんであるが、民主主義社会の一員である私たち一人ひとりが公的サービスを提供するために必要な経費を賄う租税を国民、県民、市民として皆で広く公平に負担すべきであることは当然といえる。

 このような観点から、国、県、飯能市の財政の安定化のために「納税資金の計画的備蓄」による「租税の納期内完納」推進と中学生の税の作文など納税意識の高揚に取り組む納税貯蓄組合の意義を再認識し、飯能市納税貯蓄組合を設立することを決意した。

 私たちは、飯能市納税貯蓄組合の活動を通じて、国、県、飯能市、そして金融機関との連携・協調を図りながら、「納税資金の計画的備蓄」による「租税の納期内完納」推進と中学生の税の作文など納税意識の高揚に取り組み、将来にわたって我が国が経済成長を続け、社会全体が豊かさを享受する社会を築けるよう、民主主義社会に貢献する組合として次の事業を推進していくものである。

 なお、納税貯蓄組合の取り組みは、国、県、飯能市の財政収入の安定的確保のみならず、組合員の事業者としての健全な経営及び家庭人としての健全な家計運営に繋がることになると確信している。

 【租税の期限内納付の確立】

 ①納税資金の計画的備蓄の推進と期限内完納の定着化②口座振替、ダイレクト納付等の普及拡大とe-TAX(イータックス、国税電子申告・納税システム)及びeLTAX(エルタックス、地方税ポータルシステム)の普及③消費税の滞納未然防止活動。

 【納税道義の高揚】

 ①租税教室の推進②税の広報活動と正しい税の理解者・協力者の拡大③中学生の「税についての作文」募集。