内沼県議一般質問・下 体育館屋根に遮熱塗装

 埼玉県議会9月定例会一般質問に登壇した飯能市(西3区)選出の内沼博史県議(自民)は、宮沢湖畔にオープンする「メッツァ」と連携した県西部地域の観光振興、公立学校における暑さ対策、地元問題として県道富岡入間線、県道飯能下名栗線の整備などについて質した。前号に続き、主な質問と執行部答弁を取り上げる。

 次の9項目が内沼県議の全質問。①県西部地域の観光振興②埼玉における日本版DMOの取り組み③自転車を活用した観光振興④鳥獣被害対策⑤公立学校における暑さ対策⑥認知症対策と健康づくり⑦公共下水道事業に対する県の支援⑧県道富岡入間線の整備⑨県道飯能下名栗線の整備。

 ▽内沼県議=県立高校、公立小中学校体育館のほとんどは、エアコンが設置されていないと聞いているが、このままで良いのか。体育館の夏場の暑さは尋常ではない。しかし、部活動や体育の授業、地域のスポーツイベントなどでも使用されている。また、災害時の避難場所として体育館が指定されている自治体も多くある。体育館にエアコンが設置できれば良いが、それには多くの予算も期間もかかることが予想される。しかし、このままというわけにはいかない。

 そこで提案だが、体育館の屋根に遮熱塗装を施し、室内温度を下げる工夫をしてはどうか。先日、会社の倉庫の屋根に自動車メーカーのベンチャー企業が開発した遮熱効果の高い塗料を塗装し、その温度抑制効果を図る取り組みを視察した。施工前と施工後で屋根裏温度が15度低下し、室内温度は7度低下したという。

 ▽教育長=現在、県立高校の体育館にエアコンはないが、139校のうち133校では大型扇風機や水が蒸発する際に気化熱を奪う性質を利用した冷風扇を設置するなどの暑さ対策を講じている。遮熱効果の高い塗装については、暑さ対策の一つの方法となりうるのではないかと思う。来年度実施する体育館の大規模改修工事の中で試験的に実施し、費用対効果を確認していく。

 ▽内沼県議=平成27年9月議会において、県道富岡入間線のJR八高線阿須ガード拡幅について質問したが、答弁は今後の状況を見ながら検討し、必要な安全対策を図っていくとのことだった。この沿線には阿須運動公園、市民体育館、ホッケー場などの市の主要な体育施設や駿河台大学、あけぼの子どもの森公園などがある。

 また、飯能市にムーミンテーマパークの開園が発表されてからは、あけぼの子どもの森公園が、通称ムーミン谷公園と言われていることから来園者が年々増加し、前年比で倍近くの来場者数の月もある。今年6月に県からも補助を頂き、園内にカフェがオープンし、さらに来園者が増加するようになった。それに伴い、休日には運動公園や公園利用者で渋滞もしている。

 地元では、平成27年の一般質問後に周辺の4自治会が中心となり、県道富岡入間線道路整備促進協議会を組織し、飯能県土整備事務所や飯能市に八高線ガード拡幅や沿線の整備についての要望書を提出している。飯能市議会でも阿須ガード拡幅やあけぼの子どもの森公園、運動公園周辺の道路整備についての質問も行われている。

 以前にも増して重要な路線であり、地域要望の強い八高線阿須ガード拡幅を含めた飯能市内の県道富岡入間線整備について尋ねる。

 ▽県土整備部長=飯能市内の県道富岡入間線の沿道には、北欧の童話をモチーフとしたトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園や阿須運動公園などがあり、日頃から賑わっている。一方で、この県道には歩道が途切れている箇所や幅員が狭い箇所があり、特に八高線の下を通過する阿須ガードは幅員が5・5メートルと狭く歩道がなく、大型車同士のすれ違いも困難。

 阿須ガードの拡幅については、工事期間中の迂回路の確保などの課題があることから、当面の安全対策として平成27年度に注意喚起のための反射材や看板、照明灯などを設置した。また、阿須地内の歩道が途切れている80メートルの区間については、現在歩道の整備に向けて用地交渉を進めている。今後とも阿須地内の歩道整備を進めるとともに、交通状況の変化を注視しつつ、阿須ガード拡幅の進め方について検討していく。

 ▽内沼県議=県道飯能下名栗線は、飯能市の山間地域に位置する名栗、原市場地区と市街地を結ぶ唯一の路線。朝夕は多くの市民が通勤通学に利用し、公共交通網であるバス路線としても名栗・原市場地区住民にとっても重要な役割を果たしている。

 沿道には小中学校、福祉センターなどの公共施設があり、通学路となっている場所もある。また、多くの川遊びスポットやバーベキュー場があり、適度なアップダウンがあることからロードバイク愛好者も集団で訪れて頂き、名栗・原市場地区への観光客は、年間40万人を超えている。しかし、道幅が狭い箇所が多くあり、大型車が来ると、すれ違いできない箇所も数多く存在する。

 原市場地区には、まだ拡幅が必要な箇所が多く残っており、その中で一ノ瀬橋から二ノ瀬橋の区間について尋ねる。この区間は通学路で、一部では歩道整備を行って頂いているが、現在は休止している状態。これまでに、地元自治会から要望書も提出され、地域にとっては一日も早い整備が望まれている。

 ▽県土整備部長=県道飯能下名栗線の一ノ瀬橋から二ノ瀬橋までの900メートル区間については、幅員が狭く、路線バスなど大型車のすれ違いが困難な箇所がある。また、この区間の一部は通学路ともなっており、車両や歩行者の安全で円滑な交通を確保するためには、道路の拡幅や歩道の整備が必要。

 このため、平成6年度に拡幅整備に着手し、11年度までに200メートル区間の整備が完了したが、以降、用地交渉が進まず、事業を休止していた。その後、地元自治会から早期の整備要望を頂いているが、整備の再開にあたっては地元のご理解とご協力が不可欠。まずは、年内に説明会を開催し、地元皆様のご意見を聞きながら、合意形成へ向けて調整を進めていく。