耐震目標値など実情合わせ改定 建築物耐震改修促進計画

 日高市は、地震による建築物の倒壊などから市民の生命・財産を守ることを目的に平成23年3月に住宅・建築物の耐震化計画をまとめた「建築物耐震改修促進計画」をこのほど改定した。

 計画期間を平成33年3月までとし、実情に合わせ新たに建築物の耐震化率の目標率を設定、耐震化を促進するための各種施策等を見直したもの。

 改定後の計画によると、平成28年3月末現在の市内の住宅の耐震化率は76・2%で、国・県の目標値を踏まえ、平成33年3月末の耐震化率の目標値を95%とした。

 策定時の計画は、東日本大震災以前の状況を踏まえたもので、平成7年の阪神・淡路大震災で死者の9割が住宅・建築物の倒壊等によるものだったことを教訓に、市内に大きな被害をもたらすと想定される地震の被害想定などを例に挙げ、平成27年度までの市内の住宅・建築物の耐震化の目標、耐震化促進の施策などを示した。

 27年度で計画期間を終えたが、地震に強いまちづくりを推進するため住宅や建築物の耐震化を促進するため28年度も同計画を延長、さらに、東日本大震災の状況や県が平成24~25年に実施した地震被害想定調査の被害想定結果、建築物の耐震化の現状などを踏まえ、計画内容を大きく見直した。

 改定後の計画は、期間を平成33年3月までとし、平成23年3月の東日本大震災や28年4月の熊本地震などを例に「大地震はいつ、どこで発生するのか難しい状況」とした上で、市内で想定される地震被害について、県が平成24~25年に実施した地震被害想定調査の結果を踏まえ、東京湾北部地震、茨木県南部地震、元禄型関東地震、関東平野北西縁断層帯地震、立川断層帯地震の5つの想定地震のうち、市に最も影響を及ぼすとされる関東平野北西縁断層帯地震の被害想定を建物全壊42棟・半壊549棟、死者3人・負傷者87人としている。

 市内住宅の耐震化の目標については、策定時に平成27年度までの目標値を90%としていたが、現実の耐震化率は平成28年3月末現在で76・2%という状況。昭和56年以前(旧耐震基準)に建てられた木造住宅など耐震性なしとされる住宅がまだ4990戸あることから、改訂版ではこれを33年3月末までに1070戸まで減らし、耐震化率95%とする目標値を設定した。

 一方、多数の人々が利用する市の特定既存建築物の耐震化率は、前計画策定時は73%だったが、小中学校等の耐震改修の取り組みにより目標としていた100%を達成。また、民間特定既存建築物については耐震性のないものがまだ9棟あり、耐震化率は90%。改訂版では県と連携して95%に引き上げることを目標に掲げた。

 住宅耐震化を促進するための具体的な取り組みとしては、パンフレット等による情報周知、地震ハザードマップによる情報提供、建築基準法による勧告・命令等の実施、地域住民・自主防災組織との連携、支援制度(無料簡易耐震診断、耐震診断・耐震改修に関する補助制度など)、融資制度、税の特例制度、相談窓口の設置、リフォームに合わせた耐震診断・耐震改修の促進、無料耐震診断相談会、地元建築士と連携した相談体制の整備などを挙げた。

 市は、旧耐震(昭和56年5月31日以前)の木造住宅を対象に、建築士が行う耐震診断に要した費用の一部補助や、耐震診断により建築物の地震に対する安全性の総合評価が1・0未満の建築物を対象とした改修工事に対する改修費の一部補助を行っている。

 耐震診断への補助は2分の1以内で上限5万円。耐震改修補助金については4月1日に改定し、従来の改修費の23%・上限20万円から、耐震改修に要した費用の2分の1以内で上限50万円(市内事業者で耐震改修を行う場合は上限60万円)とした。