現代に蘇った「馬射戲」 11月に高麗王杯

馬上から的を狙う選手(写真は昨年の大会)

 日韓の選手が馬上から弓矢の腕前を競う第5回高麗王杯「馬射戲~MASAHI~(まさひ)騎射競技大会」が11月26、27日の2日間、巾着田を会場に開催される。高句麗時代の騎射競技を現代に蘇らせた同競技は、高句麗と縁の深い日高市で始まり、大会開催は今年で5回目。

 高麗郡建郡1300年の節目を迎え「渡来から未来へつなぐ」を合言葉に、スピード感のある馬射戲競技に加え近隣のよさこい団体、ご当地グルメなどが集まり会場を盛り上げる。主催は高麗1300、日高市、高麗郡建郡1300年記念事業日高市実行委員会。

 高句麗時代、軽装で素早く動きながら弓矢を射る弓騎兵は最強の戦闘技術とされ、その訓練を兼ねて行われた競技が「馬射戲」と呼ばれた。高句麗時代の徳興里壁画古墳に描かれた「馬射戲図」には馬上から四角の的を射抜く射手、記録係、検見役(審判)の姿があり、江戸時代の文献には日本の武士に浸透した流鏑馬(やぶさめ)も馬射戲がルーツとなったとされる記述があるという。

 この歴史ある競技を現代に蘇らせようと、韓国に本部を置く世界騎射連盟、日本騎射協会らが新たにルールを定め、高句麗とゆかりが深く高麗郡建郡1300年を迎える日高市で平成24年から競技大会が開かれるようになった。

 競技のルールは、60センチ角、40センチ角、20センチ角の大中小3種類の的を用い、30メートル間隔で5か所に設置された的を狙って馬上から矢を放つ。3種類で計6回の騎射を行い的に当たった合計点を競う。

 スタートからゴールまでの馬の走路は200メートルあり、走路から的までの距離は5メートル。日本の流鏑馬(やぶさめ)よりも短い弓を使い、スピード感を感じさせる。

 大会には世界騎射連盟の本部がある韓国から選手たちが参加し、日本騎射協会の日本選手とともに伝統的な衣装に身を包み、疾走する馬上から的をめがけて矢を射る。

 日本騎射協会の会長として競技の普及や国際交流を進め、選手としても現役を続ける宮川昇さん(52)は「日高の地で馬射戯が始まり、高麗郡建郡1300年を契機に年々盛り上がっている。若手選手も増えており、多くの人に競技に関心を持ってもらえたら」と呼びかける。

 昨年の4回大会は2日間で約1万人が来場。ゲストとして韓国から京畿道(キョンギド)のナム・ギョンピル知事、世界武術連盟のチョン・ファテ総裁、世界騎射連盟のキム・ヨンスプ議長らが来訪し、谷ケ﨑照雄市長や高麗1300の大野松茂理事長らと交流を深め、韓国メディアのテレビ撮影も行われた。

 ナム知事は今年5月に日高市で開催された建郡1300年記念祭にも出席し、「友好の絆を未来へとつなげたい」と日韓友好を願った。

 馬射戲競技は27日午前10時から開会式を行った後、10時半から60センチ的、午後1時から40センチ的・20センチ的の競技を行い、3時から表彰式・閉会式を行う。

 26日は午前10時から午後3時まで「武蔵国高麗郡よさこい交流会」として近隣で活動するよさこいグループ11団体が集合し会場を盛り上げ、午後1時半から馬射戲のデモンストレーション、2時半から小中学生を対象とした馬射戲体験が行われる。

 また、両日午前10時から午後3時半まで「地元の名店・ご当地グルメコーナー」として、韓国のチヂミやトッポギ、キムチ、日高の高麗鍋をはじめ近隣のグルメが出店する。

 大会運営に伴い、主催の高麗1300は協賛金を広く募集している。問い合わせは、同事務局978・7432へ。