活断層ではない「名栗断層」 予想震度分布の見直しも

市機構改革に伴う災害対策本部組織の一部修正なども説明された防災会議
市機構改革に伴う災害対策本部組織の一部修正なども説明された防災会議

 飯能市名栗地区から青梅、立川市へ延びる活断層群、いわゆる「立川断層帯」の地震の発生確率について、これまで「やや高いグループ」とされていたが、今後、予想震度分布や被害想定などが見直される可能性があることが、22日に飯能市役所で開かれた市防災会議(会長・大久保勝市長)で分かった。

 青梅、立川、府中市へ延びる総延長約20キロメートルの活断層が立川断層。その北側の延長上に約14キロメートルの名栗断層がある。

 市地域防災計画(平成27年3月改訂)によると、立川断層帯の北で地震の破壊が始まった場合、飯能市は震度6強の揺れに見舞われ、死傷者や家屋の全半壊が出現する。

 同断層帯の地震による被害想定などの見直し予想は、立川断層帯に係る最新の研究結果から、市防災会議の事務局が報告したもの。根拠は東大地震研究所が平成24年から同26年までの3か年で実施した「立川断層帯における重点的な調査観測」(文科省の委託業務)。

 東日本大震災以降、首都圏の地震活動が活発化しつつあり、立川断層帯を震源とする地震発生が危惧されている。が、同断層帯については不明な点が多く、従来の長期評価は信頼性が低い──とされていたことから、断層帯の形状、詳細位置、分布、活動履歴などの解明調査が着手された。

 それによると、名栗断層と立川断層南部について「断層活動を示す地形、地質学的な証拠は見出せない」などとの調査結果が出た。

 名栗断層は名栗から原市場、南高麗地区に延びているが、活断層の証拠がないとの結果を受け、防災会議では事務局から「(飯能市の)予想震度分布、被害想定の見直しが想定される」との報告が行われた。

 市地域防災計画(平成27年3月改訂)によると、立川断層帯の北で地震の破壊が始まった場合、飯能市は震度6強の揺れとなり、木造住宅については1051棟が全半壊する。

 また、冬の午前5時に発生したとすると、炎上出火家屋からの逃げ遅れや建物倒壊などで市内では8人が死亡し、173人が負傷すると想定している。

 今回の報告を受け、防災会議の議長を務めた大久保市長は「私にとって非常に朗報。市域は地震に強い」と述べた。