復興元気市に賑わい 鎮魂の鐘響く

東北の海産物などが並び賑わう会場
東北の海産物などが並び賑わう会場

 「震災を忘れない、飯能にできること」。東北応援を掲げて東日本大震災の翌年から始まり今年で5回目を迎えた「震災復興元気市」が5、6日の2日間にわたり飯能市の中央公園周辺で開催された。

 飯能市の各種団体で構成される実行委員会が主催し、会場では初日はご当地B級グルメ、2日目は被災地の物産を中心とした販売をはじめ、防災をテーマにしたブースなどが設けられ、多数の来場者で賑わった。

 震災を目の当たりにした人々の講演も行われ、両日とも開会式や震災の発生した午後2時46分に合わせ、津波被害に遭った梵鐘の音を合図に犠牲者の冥福を祈って黙祷が行われた。

 予報では天候が心配されたが両日ともに好天に恵まれ、会場は盛況。初日は県内や東京多摩地区など19市町のご当地グルメを販売。6日には福島、宮城、岩手、茨城県などの被災地12自治体の商工会議所や市民らが参加し、ホタテやウニ、ワカメ、カマボコなどの海産物を販売した。

 市民会館で行われた特別講演では、大船渡商工会議所会頭で「かもめの玉子」のさいとう製菓会長の齊藤俊明氏、航空自衛隊入間基地の元司令・國分雅宏氏の講演を通して、目の当たりにした震災の姿や被災地の今などについて来場者が理解を深めた。

 市民会館前庭には震災で津波被害に遭った宮城県名取市閖上(ゆりあげ)の東禅寺が所有していた梵鐘が設置された。梵鐘は東禅寺の住職と大学の同級生だった法光寺(飯能市坂石町分)の大野文敬住職が保管。

 会場では市民らが鎮魂の鐘を鳴らし「震災からもう5年が経過したが、被災地の人々にとっては私たちには想像できないほど長く、辛い時間が続いていると思う。少しでも力になれたら」などと思いを寄せた。

 2日目の開会式で元気市実行委員会の金子堅造実行委員長は「東北を元気にしよう、日本を元気にしよう、そのためにはまず飯能を元気にしようとの思いで行ってきた。皆様のおかげで5回目を迎えることができ、今回も東北の物産が並び、遠方からも多くの来場を頂き本当にありがたい。続けていくことが大切。ぜひ10回までは行いたい」。

 また、大久保勝市長は「震災復興は相対的に5割も進んでいないと聞く。東京五輪ばかりに目を向けるのではなく、復興が100%となるまでもっと東北を応援していく必要がある。飯能が日本で一番東北を応援するまちとなるよう、今後ともご協力をお願いしたい」と呼びかけた。