県内公立中で初、私服登校認める 武蔵台小中学校 

学校にふさわしい服装を考える生徒たち

今年度、小中一貫の義務教育学校として開校した日高市立武蔵台小中学校(秋馬信之校長)は、制服の購入が家庭の経済状況を圧迫していることへの配慮やジェンダーレス社会への取り組みの一環として、令和6年度から「制服自由化」を開始し、中学生の私服登校を認める。県内公立中学校では初。

同校は、武蔵台小学校と武蔵台中学校が統合し、県内2校目の義務教育学校として令和5年度に開校。開校前から、学校運営協議会委員、保護者などからなる「体育着・制服選定委員会」(制服検討委員会)を組織し、秋馬校長からの「一律に服装を統一する必要があるのか」との問いかけに基づき、制服自由化への検討を重ねてきた。

これまでに、制服・私服それぞれのメリット・デメリットについて児童生徒、保護者を対象にアンケートを実施。制服登校のメリットとしては「帰属意識が生まれる」「服装に悩まなくて済む」などの意見があり、私服登校のメリットとしては「洗濯がしやすい・快適に過ごせる」「多様性や個性を尊重することにつながる」ことなどが挙がり、児童生徒、保護者ともに私服登校に6割が賛成、4割が反対という結果となった。

その間、制服、体育用ジャージ、私服を選んで登校することのできる「カジュアルデー」「カジュアルウィーク」を実施。保健体育の授業は体育着やジャージが望ましいことから、ジャージ姿で登校する生徒が多く見られたが、私服での登校を楽しむ様子も見られたという。

また、「制服保護者会」を開き、保護者への説明を通して理解を求めたほか、開校以来30年間、私服登校を続けている千葉県印西市立西の原中学校に職員を派遣し、視察の様子を他の職員に伝えた。

その後、各学級で「服装指導」が行われ、学校で独自に作成した教材をもとに学校にふさわしい服装について生徒たちがグループで考え、「学校は勉強するところである」という考えのもと、場に応じた服装についての考えを深め、最後には1か月間にわたり服装を選んで登校する「カジュアルマンス」を実施した。 同校は、義務教育学校として、小中学生が集まったときに服装の違いがあることに違和感をもった保護者もおり、場に合った服装について考えることが自立への一歩につながるなどとして制服自由化に踏み切ったとし、定期テストや行事、受験などの際には、場に応じた服装をするよう求めていくとしており、秋馬校長は、「本校の学校教育目標は、自立・創造・共生。その具現化の手立てとして制服自由化を考えた。子どもたちの自立を促していきたい」と話している。