集団接種シミュレーション 流れ確認、アナフィラキシー対応も

接種シミュレーション

 新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、飯能市は9日、集団接種を想定したシミュレーションを実施した。実際に集団接種の会場となる市総合福祉センター2階を使い、医師や看護師、被接種者役を含む市職員ら102人が参加し、ワクチン接種の一連の流れを確認した。

 アナフィラキシーを発症した場合の対応についても確認が行われた。同市の高齢者向けのワクチン接種は、5月24日の周以降の開始が予定されている。

 市によると、福祉センターでの集団接種は1回の予約人数を25人とし、1日3枠の予約を受け付け、1日に計75人の接種を行う計画。受付から経過観察終了までの所要時間は最大で80分となる見通し。

 具体的な手順は、あらかじめ予約をした対象者が、会場入口で検温を行った後、受付へ進み、待機場所で看護師が予診票の確認と再度検温を実施。問題がなければ医師による問診を経て看護師によるワクチン接種を行う。接種済証が交付され、経過観察室で15~30分の経過観察を行い、異常がなければ終了となる。

 シミュレーションには、スタッフとして飯能地区医師会の土屋崇副会長、小川晃男副会長、看護師、市職員に加え、被接種者役として市職員50人が参加し、大久保勝市長らが視察に訪れた。

 会場は、被接種者が密にならないよう、順路や待機場所を工夫。被接種者役の職員が案内に沿って受付から順に進み、実際に医師の問診を受け、接種では看護師が注射器を腕に当てる動作を行うなど、本番さながらの内容となり、担当するワクチン接種対策室職員は「それぞれの持ち場で浮上した課題を整理して改善したい」とした。

 また、シミュレーション終了後には、経過観察室でアナフィラキシーを発症した人を想定し、看護師が緊急ベルを鳴らして応援を呼び、患者をタンカに乗せて救護室に運び処置を行うまでの動作を確認した。

 参加した医師会の土屋副会長、小川副会長は「実際に体験することで、接種の流れをある程度掴むことができた。この流れでいけば概ねスムーズに進むのでは」との感想を述べた。

 さらに、接種会場では副反応が出た場合の速やかな対応に備えることが重要とし、「ワクチン接種を受けることによって、新型コロナにかからない訳ではないが、重症化にならずに済むという効果が示されている。持病のある方はなるべく受けるようにして頂けたら」などと話した。

 一連の流れを視察した大久保市長は「まずは市民に安心して接種を受けて頂ける態勢を整えなくてはいけない。国の動向もなかなか予定通りにいかない中ではあるが、飯能市は日本一の対応をするということで、今回、シミュレーションを行うことができて良かった。医師会の先生にも現時点ではよろしいのではとのお話を頂いた。実際に始まると色々な事が起こりうると思うが、速やかに対応できるように、医療関係の方々と連携し職員一丸となって取り組みたい」と述べた。

 飯能市のワクチン接種は、市内医療機関での個別接種、集団接種として総合福祉センターでの予防接種センター方式、各地区行政センターなど巡回して接種する地区巡回方式が予定されている。