観光トイレ変更問題② 予算の透明性、行政の責任 「県に市指導記録無し」

場所等が変更になった経緯を市執行部(右)に質す山田議員(左側後ろ向き)

 ■河川区域内のトイレ建設は通達で規制緩和では

 ▽山田議員=観光振興に本当に飯能河原は重要だという事で、トイレはずっと長年の懸案だった。こういう風に言われた。その懸案の中身は、やはりきちっと計画の中に明らかにして、年度計画を立てる必要があると思う。28年度の計画の中で建て替えの前に、堰の上にあそこの名栗川亭が無くなった、と言うような中で、作りたいという思いがあったと言われた。

 それならば、28年度の中で、この計画の中にしっかりと、ここに地図も示されている、だから、それを位置付けて観光トイレを作るのであれば、2か所次年度にどこを作る、こっちを先、こっちを後と、その辺はしっかりすべきで、計画を位置付けた物を、こういう風に変更するというのは、いかがな物かと思う。先ほど河川区域だ、と言う風に言われた。確かに4月12日に県土整備事務所と打ち合わせた際に、「河川区域内の観光トイレの設置は原則NGであるが2007(平成19)年の国土交通省の通達により、観光公衆トイレは協議の上設置可能な場合がある」との説明を受けたとある。これは通達によって規制が緩和され、作りやすくなったと考えるが、それについてはいかがか。

 ■頂いた予算を観光振興に資する施策に有効活用

 ▽上副市長=計画行政の問題については、当然単年度主義ではなくて、実施計画に載せて、当然総合振興計画、基本計画、実施計画、それで予算執行という流れを組んでいるので、市としても議員の質しのように、そのような形であるべきだ、と言う事は原理原則論として申し上げたい。

 しかしながら、この件に関しては割岩橋の直下の観光公衆用トイレについて、これは事前の精査が不備だったという事については、本当に申し訳なく思っているが、そのような状況の中で、せっかく頂いた予算、尚かつ、この観光振興に資する極めて重要な施策であるという事で、これをきちっと議会の皆さんに説明する中で有効に活用する事こそが、市民、来訪者の利便に供する、と言うような判断をした訳で、この事をきちっと全協で説明するという前提で進めようと決定をした。河川区域等の詳細については、担当部長が答弁する。

 ■資料作成に相当時間

 ▽青田部長=申請等の手続きは、申請を行って許可がもらえるまでの期間、2~3週間と聞いていて、しかしながら、この河川区域に建築物を作るという事になると、例えば平面図を作ったり、立面図、あるいは給排水管の配置図、電気の配線図等々。この河川区域において、支障が無い建物かどうか、という事を判断してもらえる資料の添付が必要になってくる。その資料の作成にだいぶ時間が掛かるというような事で、このような事になった。

 ■県「資料あれば1月弱で許可。市指導の記録なし」

 ▽山田議員=私も県に行って尋ねた。河川区域だから無理なのか、現在既存の施設がある訳だから、その辺どうして駄目なのか、という事で、質問しに行った。県の担当課が、4月当初、市が協議、あるいは指導を受けたという表現がある訳だが、県の担当課では、「そうした記録はない」という事と、分かるような形での物はない、という事だった。

 しかし、現在より規模がかなり大きくなるとか、大きな変更という事でなければ、今も既存している訳だから、添付資料さえ揃えば、まあ1か月もしないで許可される、と言う風に言っていた。

 そういう中で、先ほど2週間、3週間すれば許可が下りるというような事を言っていたが、その辺を変更の理由にするのは、私もまだ納得がいかないが、そういう所で、やはり4月12日の段階で、そこで変更を決定した、と言う所が一番のミソになると思うのだが、やはり変更であれば、きちんと先ほども言ったように、議会に説明が十分にどうのこうのと言うが、変更して場所も名前も変わる訳だから、その辺はしっかり6月議会に、全部整わなければ議会に報告ができない、という事ではないので、なぜ6月議会に出さなかったというのか、6月議会に出していれば、7月6日には設計委託もして、7日には設計委託の業務契約も交わしている訳だから、できたはずだと思うので、その辺が不可解でならないと、先ほどの十分の準備ができていなかったので、報告ができなかったという事だが、もう1回変更するよ、という報告だけでも、議会にすべきで、6月議会にできなければ、8月の議会できちんと今はこういう段階になっていると、報告ができたのでは、と思うが。

 ■地権者の承諾待ちで遅れ

 ▽青田部長=この工事個所の変更の報告については、当初、5月の全協を目途としていたが、変更になった場所が民地であったところから、地権者の承諾を確実にもらった後に、議会に報告するべきと、考えて、結果として6月下旬に、その地権者から承諾を得ている。そのため、8月全協での報告という事になった。改めて考えて、途中での経過報告という方法もあったのではないか、と感じている。

 ■なぜ、2か所一緒に設計委託したのか

 ▽山田議員=それで設計についてだが、7月6日に設計委託が行われた。それは2か所。地番で言うと大字堂平、この時は、2か所が同じ堂平になっている。しかし、1か所は森下という地番。なぜ、2つ一緒に設計委託したのか、そして次の日に、設計の業務契約を交わしている訳だが、2つの契約について質問する。

 割岩橋の改修工事の設計委託が、いったい何だったのか、尋ねる。

 ■割岩改修と大河原新築

 ▽青田部長=トイレの対象が大河原地区に変更になった事により、この件については全協でいう事なのだが、その中で割岩橋の観光公衆トイレについても、30年度に送ったという所の中で、やはり早く、その工事を進めて行きたいという所で、割岩橋についてはリフォーム、新築の大河原という内容になっている。

 ■予算原則に反するのでは

 ▽山田議員=それが問題だと思うのだが。予算は確かに割岩橋観光トイレの改修、リフォーム工事の設計が含まれた予算だった。設計を2つ取る予算にはなっていない。ところがここで2つ業務委託をして、契約を結んだ30年度に先送りをした割岩橋観光トイレの改修工事、この設計を、それを使うのだとしたら、こんな事許されていいのか。これは全く議会無視だし、今はその設計はそのままになっていると思う訳で、次の年度で使う設計を当該年度にやってしまったという事だし、これは予算原則に反する事にならないのか。財政の方に聞いてもいいか。

 ■想定と違っても市民のための予算執行なら問題なし

 ▽須田浩財務部長=今回の観光トイレ関連の事業については、平成29年度の一般会計予算の商工費において、都市回廊空間整備事業として設計委託料及び工事請負費合わせて9379万1000円を予算配当した。その中で、トイレ関係の事業費、執行すべき物という事だった。予算を市民のために、より効果的に執行するためにも今回は当初の想定とは異なった事業内容になった物という事なので、予算執行上は問題ない物と考えている。

 ■議会議決無く設計委託進めれば地方財政上問題では

 ▽山田議員=問題ない、と言われた。しかし、年度がまたがる物をやる時には、継続費という事で議会に諮って、次の資料を集めたり何だりするには、相当手間が掛かると、前年度に計画しておかないと間に合わないという見通しがあるのであれば、30年度の割岩橋の下のトイレの設計を29年度にするという、それは継続費か何かできちっと議会で議決をして、やらなければならない問題ではないか。設計委託を議会で議決しないまま、進めるとしたら、地方財政上大きな問題になるのではないか。

 これは、逆にもし、この予算をもう渡してあるのであればそうだし、渡してないのであれば、賠償問題か何かになって来るのではないか、と思うが、その辺は。

 ■設計と工事が別々の工事のため継続費ではない

 ▽青田部長=今回の工事については、設計業務と工事業務が別々になっている。継続費の場合には、一般的に一体的事業が継続になっているので、この件については、継続費ではないと、考えている。

 ■継続費でなければ解決は

▽山田議員=継続費ではないという事であれば、この問題をどうやって解決するのか。

 ■迅速丁寧に対応

 ▽青田部長=私どもの説明の中で、割岩橋から大河原へトイレの場所が変更になった、この一連の説明の中で非常に説明が不足していたという事は、痛感している。今後、このような事がないように迅速丁寧にスピード感をもって、対応していきたい、と思っている。

 ▽山田議員=本当に予算というのは、予算執行上、透明性、説明責任、本当に行政は問われる訳ですから、どこから何を言われても大丈夫なようにするのが行政だと、ここでは指摘をしておきたいと思う。