西武線跨ぐ橋公表 阿須小久保線整備進む

こ線橋工事について説明する担当職員

 飯能市東部を南北に縦貫する主要幹線として整備が進む都市計画道路阿須小久保線の進捗状況と、西武池袋線と同線が立体交差するこ線橋の概要が23日、岩沢北部・南部土地区画整理審議会の中で報告された。

 同線は、昭和41年3月に計画された総延長4080メートル、幅員16~18メートル、2車線の歩道付きの道路。

 南側は、駿河台大学近くの県道富岡入間線と交差する地点から、北側は、宮沢湖南の防災センター付近の県道飯能寄居線につながる。メッツァとトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園を結ぶ道路として、最重要・最優先に整備が期待されている。

 そのうち、岩沢の北部と南部の区画整理地内を約1キロ通っているが、バブル崩壊などの影響もあり、両地区の事業進捗が遅れ同線の整備も進んでいない。現在のところ両地区内で供用開始されている同線は、南側の入間川に架かる阿岩橋から市道1―7号線に至る約130メートルの区間。

 この日、午前中に開かれた北部の審議会で明らかにされた同線の整備計画及び現在工事中の区間は、1-7号線から北へ、西武池袋線と立体交差し双柳岩沢線との交差点に達する540メートルの区間。そのうち、1-7号線から川寺岩沢線との交差点部分約120メートルについては、既に工事が進められている。これから整備される残り420メートルの大部分は、西武池袋線を7~8メートルの高さで超えるこ線橋工事に伴い、通常の地面の高さの一般部から上がって下りる北部と南部の坂道部分。この部分の道路の幅員は概ね12・8メートル。

 西武線を超えるこ線橋部は長さ30メートル、構造体を薄く軽く作れ、工期の短縮に寄与する合成床版橋を採用。橋に達する南北の坂道部分は最大勾配8%。左右の道路壁を成すコンクリートパネルをつないで補強しながら盛土を積み重ねていく補強土壁工法で建設する。工期を短縮し、主要な工事がパネル内と成るため、近隣への工事中の迷惑を軽減出来るという。

 この道路の壁となるパネルと民有地との境界は、所によっては約10センチ。

 市の説明では、同線が近隣の家の近くを通る所は、なるべく高低差が付かないように設計し、こ線橋の最高部を地上から7~8メートルに抑えたが、北部の双柳岩沢線及び南部の川寺岩沢線の交差点部を地上での平面交差にしたため、勾配は8%になった。市の説明では、一般の複合道路は勾配6%ほどだが、同線の8%の傾斜部は約5メートルで、それほどの急坂にはならない、という。

 また、「万里の長城」のように、こ線橋に達する坂道部分は、コンクリートパネルの壁に成るため、通行出来なくなる市道が一部出る。

 そのほか、こ線橋建設に伴い、同橋から約40メートル東に現在設置され、北部の白鬚白山神社と南部を結ぶ西武池袋線の踏切が廃止されるが、同線歩道に上って下りる階段を南北に建設し歩行者の便を図ること、池袋線南側に並行して幅員5~4メートル、長さ約200メートルの道路が整備されること等が報告された。階段を利用して南側の同線に上がり歩道を歩き、こ線橋を渡って北側の階段を下りるまでの距離は、審議会で示された原案では約170メートルある。

 来年度以降に着工し、完成まで5年程度を見込んでいる。

 このこ線橋建設を含む同線の整備計画について、関連する7自治会の住民に対する説明会が10月6日午後7時から、同市岩沢の加治東地区行政センターで開かれる。

 この日、出席した委員からは、踏切廃止に伴う同線の階段建設と、説明会の在り方などについて、意見や要望が相次いだ。

 「南側の階段からこ線橋まで80メートルも歩くのでは、神社が遠くなってしまう。もう少し近くに降りられる工夫はできないのか。神社に行く人は高齢者が多い。集会、自治会、懇親会などで、歩きか自転車でよく利用されているが、これでは車で行かざるを得なくなる」「神社は村の中心。子どもにとっても、なるべく近くなるように」「年寄りに階段の上り下りは大変。スロープの設置は。踏切を無くすのであれば、階段は最悪の考え」。

 これに対して、市側からは、「距離と時間は掛かるが、高さが7~8メートルあり、緩やかに上り下りした方が、体力的に負担が掛からないと思う」「なるべく検討して、歩く方に負担が無いようにしたい」等と回答した。

 また、説明会の在り方については、「神社の前のこ線橋の説明で、7自治会に対して行うのに1回だけで済むのか。市は何人くらい集まると想定しているのか」と、市側に見解を質した。

 これに対し市は、「阿岩橋の工事の時に大体70人くらいだった」と、過去の実績から説明。

 一方、委員からは「神社は橋より関心が高い」という指摘が目立ち、「回覧等を工夫して事前に分かりやすく説明すべき」「多分、説明会で踏切を残して欲しいという人が出る。存続は無理という事を知らずに。小規模の説明会を数多くやった方がよい」「橋の模型を作って説明しては」など、多くの意見が出た。

 委員の意見を受けて、市は、なるべく見やすい資料、写真、イラストを作って説明すること、近隣住民には、個別に回って説明しており今後も個別に対応していくこと等を回答した。

 そのほか、委員からは、境界から10センチのため補修工事に懸念を示す意見や、工事中の神社へのルートや、通学路などについて質問があった。