大松閣で初夏を満喫 ホタル観賞や限定アユ料理

この季節限定のアユ料理

 豊かな自然に囲まれ佇む名栗温泉「大松閣」(飯能市下名栗)では、初夏ならではの季節限定の食事メニュー「アユ料理」が登場し、「新鮮なアユが堪能出来る」と評判を呼んでいる。

 同館の周りにはホタルが舞い、幻想的な風景が広がる中、穏やかな時間が流れる。

 清流の女王といわれているアユを使った料理は、名栗の山間を流れる冷水を張った生簀に入れられ、使用する際に生簀から泳いでいるアユを揚げるので活きも鮮度も抜群。毎年待ち望んでいるファンも多い。

 スタッフたちが、「お客様に最高の状態で食べてもらいたい」とだしから丁寧に取り、素材の味を生かしながら仕上げた昼食の「鮎御膳」、夕食の「鮎会席」共に先付けからアユづくしとなっている。

 身がしっかりしていて甘みのある刺身、塩焼き、旨みを凝縮した鮎釜飯をはじめ、白子とまこで作った塩辛「鮎白うるか」は単品での注文も可能となっている。キリっと冷やした地酒との相性抜群だ。

 また、同館周辺では7月上旬頃までホタルが飛び交う姿が観賞できる。これらのホタルは、7年前に柏木社長や地域の仲間で「夢ほたるプロジェクト」を立ち上げ、餌となるカワニナを大切に育てて育成に励み、減少傾向にあった名栗のホタルを復活させたという。

 中庭にある源泉ヒノキ風呂「木風呂」では、宿泊者のみ限定4組で貸し切りにでき、ゆったり浸かりながらホタルが飛び交う景色を満喫出来る。

 趣を変えて観賞出来るよう、スタッフの南條祐介さん(36)によるガイドのもと、近くの河原までバスを運行している。その幻想的な空間に包まれ、感動のあまり「故郷を思い出した」と涙を流す人もいるという。

 100年の歴史を持つ同温泉は、明治末期に東京のマッサージ師が同地を湯治場として開業したのが始まり。当時の屋号は「名栗館」だった。その後、大正8年に柏木代八さんが譲り受け、造成・建て直しを行い「大松閣」とした。

 歴史と先代からの意志を受け継ぐ4代目の柏木社長(42)は「自然の良さや景観と共に鮮度抜群なアユ料理、そしてホタル観賞などを通して思い出を作ってもらえたら」と話している。問い合わせは979・0505へ。