児童生徒の声で注意喚起 詐欺被害・交通事故防止に一役

湯本署長から感謝状を受け取る児童

 振り込め詐欺などの特殊詐欺被害や交通事故、子どもを狙った犯罪の防止に向け、飯能署は今年度、飯能市立吾野中学校、西川小学校、吾野小学校、東吾野小学校の協力を得て、児童生徒の声を録音して巡回中のパトカーから流し、住民に注意喚起を促す取り組みを吾野・東吾野地区で実施している。このほど各校に対する感謝状贈呈が同署で行われ、湯本賢署長が児童生徒の代表に感謝状を手渡した。

 同署によると、特殊詐欺に関しては連日のように管内の住民宅へ振り込め詐欺と思われる電話や架空請求のハガキの送付が相次ぎ、頻繁に被害が発生。交通事故については近年、国道299号沿いで死亡事故が多発している。また、子どもを狙った犯罪については管内での発生はないが、近隣では多発傾向にあり、これらの防止対策に効果的な方法はないかと模索していたという。

 子どもの声を活用した広報は、東吾野駐在所、吾野駐在所に勤務する署員のアイデアによるもの。吾野・東吾野地区は3月に小学校3校が統廃合され、4月に小中一貫校「奥武蔵創造学園」が誕生することから、「統廃合を前に地域の子どもたちや住民の思いを何かしらの形で汲み取りたい」と考案した。

 広報の作成にあたっては、吾野中学校と小学校3校の協力を募り、複数の児童生徒が参加してボイスレコーダーに3種類の注意喚起の広報を吹き込み、昨年10月から連日、駐在所のパトカーで広報を実施している。

 特殊詐欺被害の防止を呼びかける広報の内容は、「私たちのまちでも特殊詐欺被害が多くなっています。おじいちゃん、おばあちゃん、息子を騙る不審な電話や警察官や市役所職員を騙る不審な電話がかかってきた時には、一人で悩まずに家族や警察に相談して下さい。また、不審なハガキが届いた時にも注意して下さい」。

 交通事故防止については、「国道299号線において交通事故が多くなっています。車を運転する時はスピードの出し過ぎに注意して、ヘッドライトは早めに点灯するようにしましょう。また、国道を横切るのは大変危険です。国道を渡る時は信号機のある場所や横断歩道を渡りましょう。夕方、散歩する時は反射材を身につけましょう」。

 また、子どもの見守りに関する内容は「全国で子どもが被害に遭う事件が多くなっています。私たちが安心して登下校できるのは、皆さんの見守りのおかげです。地域の皆さん、これからも私たちを見守って下さい」というもの。

 感謝状贈呈にあたっては、小学校3校を代表して西川小3年の木下浬(かいり)くん、また、吾野中3年の都築弘汰さんが飯能署を訪れ、湯本署長から感謝状を受け取った

 交通事故防止の広報に参加した木下くんは「ゆっくり、大きな声で読もうと思った。パトカーから自分の声がちゃんと流れていたので嬉しかった」。特殊詐欺被害防止の文章を呼んだ都築さんは「年々振り込め詐欺が増えている。地域の人が詐欺に引っかかることのないよう、高齢者の方にも聞きやすいように心掛けた」と振り返った。

 同席した西川小の岩崎隆校長、吾野中の岡野民嗣校長は「地域の方々から子どもの声は耳に入りやすいと好評だった。参加した子どもたちも聞きやすいように表現を工夫している様子が見られた」などと話した。

 湯本署長は「特殊詐欺被害の防止については以前から、大人の声で吹き込んだものをパトカーから広報していたが、今回の子どもたちの広報を始めたところ、署にも多くの反響があり、その効果を実感している。今後もぜひ協力して頂けたら」と感謝を述べた。

 今回録音した子どもの声による広報は小学校が統廃合される3月末まで実施。来年度も実施の方向で検討するとしている。