会派優先し議運欠席 責任取り、猪俣氏辞職

 埼玉西部消防組合の組合議会(議長・野田直人飯能市議)が10日開かれ、狭山市の猪俣嘉直市議(62)(共産)が組合議員を辞職した。会派議員らと研修会に参加するため、公務である組合議会の議会運営委員会(1日)を猪俣氏が欠席したことから議運が紛糾。猪俣氏は議運の委員について事務局を通じて3日、野田議長に辞任届を提出、辞任していたが、その後も事態が収束しないことから責任を取り、組合議会も辞職した。

 同議会は定数16。猪俣氏辞職により欠員1となった。

 猪俣市議は会派議員らと県外での研修会に参加するため、組合議会の議会運営委員会(1日)を欠席した。議運は猪俣氏含め6人で、同氏を除いた全員が出席している。

 議会関係者によると、猪俣氏は議運当日、研修会場に向け移動中だったが、別の議運委員からの連絡を受けて戻り、野田議長に謝罪したという。議運は猪俣氏の研修会優先による公務欠席を問題視して紛糾。その後の飯能など議会構成5市議会の代表者会議でも意見が出、猪俣氏は3日に議運委員の辞職届けを野田議長に提出した。

 10日の本会議でもこの問題は尾を引き、議運委員長の報告後、猪俣氏が議運の辞職と謝罪あいさつを行ったが、これに飯能市議会選出の砂長恒夫市議が議事進行をかけた。

 砂長市議は「議運の委員を辞職、謝罪したからそれで責任が果たせたということか」と糾弾。「猪俣議員は狭山市議会の代表としてこの議会にきていることの自覚も捨てて、会派研修という個人的理由のみで議運、全員協議会もすっぽかした」などと指摘し、「ここは狭山市議会ではない。埼玉西部消防組合議会である。対策を講ずるべきと思う。議長に尋ねる」と野田議長に見解を求めた。

 野田議長は、これに対し「議会人は市民の代表として常に襟を正し、真摯に行動しなければならない。猪俣議員の取った行動は、議会軽視であり、大きな判断ミス。今回の出来事について議長として大変遺憾に思う」などと述べ、猪俣氏の行動について「モラルの欠落だ」とも指摘した。

 本会議を休憩し、対応を協議する代表者会議が開かれ、その後、狭山市の議員と猪俣氏を交えての話し合いの結果、責任を取る形で猪俣氏から辞職願が提出された。

 なお、同議会議長の任期は通常1年だが、野田議長の続投が決定している。

 【埼玉西部消防組合議会委員】(議席順、敬称略)

 ▽平井明美(所沢市)議会運営委員会▽赤川洋二(同)▽西沢一郎(同)▽新良守克(狭山市)副議長▽加賀谷勉(同)議会運営委員会委員▽石井幸良(日高市)議会運営委員会委員長▽齋藤忠芳(同)▽中毅志(所沢市)▽青木利幸(同)▽杉田忠彦(同)議会運営委員会副委員長▽杉山捷治(入間市)▽永澤美恵子(同)議会運営委員会委員▽近藤常雄(同)▽砂長恒夫(飯能市)議会運営委員会委員▽野田直人(同)議長