能仁寺敷地に来春オープン 発酵食品のテーマパーク「OH!!!」建設始まる

OH!!!の俯瞰のイメージ図

 発酵食品のテーマパーク「OH!!!発酵・健康・食の魔法(以下、OH!!!)」の起工式がこのほど、建設地となる飯能市飯能の能仁寺(曹洞宗、萩野伸治住職)敷地内で挙行された。事業主体は、浅漬、キムチ、総菜の製造・販売を事業の3本柱として展開する「株式会社ピックルスコーポレーション(以下、ピックルス社、本社:所沢市、宮本雅弘社長)」で、OH!!!の運営は、ピックルス社の連結子会社の株式会社OH(本社:飯能、尾中真二社長、以下OH社)が行う。来年春オープン予定。

 また飯能市は、OH!!!の建設地が天覧山入口に当たり、飯能河原も至近の市の観光拠点であることから、市道を挟んで事業用地南側の中央公園内に設置されている「アトム像」を、このエリアの新たな魅力の創造に資するため、移転を含めた検討を進めていくことを発表している。

 今年2月に発表されたOH!!!の事業概要によれば、OHの建設地は、市道を挟んで飯能市中央公園の北向かい、能仁寺の南東端の敷地約1万平方メートルに、レストラン棟、ショッピング棟など4つの施設を設け、発酵食品を使った食事の提供、物販、体験などを通して、健康に良い発酵食品や乳酸菌の素晴らしさを世界に発信する。施工会社は株式会矢島工務店(矢島崇行代表取締役)。

 ピックルス社は、近年製造だけでなく、製造から直接最終消費者に販売まで行うBtoC事業に力を入れており、複合観光施設のテーマパーク・OH!!!開設もその一環。

 手間暇かけて、じっくり醸し出される漬物を始めとする日本伝統文化の発酵食品の美味しさ、発酵・熟成の奥深さ、楽しさを、来場者が体験できる施設を目指している。

 「OH!!!」という命名は、発酵、健康、伝統、飯能、能仁寺などのキーワードが全て「oh」の韻を踏んでいることから、様々な「OH!!!」という発見、驚き、感動、感心などを来場者のみならず、広く世界に発信していくという期待が込められたネーミング。

 建設地が、飯能に決定した理由は、県内を訪れる観光客は県西部域が比較的多いと、ピックルス社は分析し、中でも飯能はメッツァ開業や、西武鉄道が飯能駅 を改装するなど勢いがある、と判断した。

 能仁寺元住職の奥さんの萩野賴子さんが、ピックルス社の社外取締役を6~7年前から務めていたことも大きな要因。

 敷地内に、ショッピング棟、物販・カフェのカフェ棟、レストラン棟、体験・ワークショップ棟の4棟を建設するほか、イベントスペースとしての多目的広場を設ける計画。

 ショッピング棟では、発酵・熟成・国産・無添加にこだわった漬物、全国から厳選した発酵食品の販売、地元飯能の採れたて野菜や特産品を扱う「飯能マルシェ」の運営、客の注文に応えて、全国の発酵食品から希望に沿った品を選び提案する「ギフトコンシェルジュ」も配置する。

 カフェ棟は、たっぷり野菜と食物由来の「ピーネ乳酸菌」が摂れる「具沢山サンドイッチ」、自家製ヨーグルト、焼き立てスイーツが楽しめるカフェ。夏には、屋上でのビアガーデンも企画されている。ピーネ乳酸菌は、胃酸に負けずに生き抜き腸まで届く植物性乳酸菌で、野菜への発酵特性が評価され特許を取得している。

 レストラン棟では、地元食材を使い、発酵、熟成、無添加にこだわった和食中心の料理を提供する。

 体験・ワークショップ棟では、発酵・熟成食品のワークショップや、発酵食品作りの料理教室を開く。  

 また、隣接する中央公園からの移転が検討されている「アトム像」は、昭和58年(1983年)に、飯能青年会議所(飯能JC)の10周年事業として作られ、能仁寺境内の「ニコニコ池ともだち広場」に設置された。

 漫画家の故・手塚治虫さんは昭和55年、飯能市内に移住することを検討し、手塚さんのプロダクションで編集者として勤務経験のある野口種苗研究所(小瀬戸)経営の野口勲代表(75)に、相談したことがある。移住は実現しなかったが、当時、飯能JCの副理事長を務めていた野口さんは、せめて、飯能にアトム像を作れないか、という考えが浮かんだ。

 野口さんは、手塚さんの了承を得て、飯能JCに10周年事業の目玉企画として提案。2年間の募金活動を経て、58年5月、アトム像(高さ約140センチ)は完成し、除幕式には、手塚さん本人が駆け付け、能仁寺境内から、現在の中央公園内に移転されたときには、手塚さんの妻の悦子さんが、除幕を行っている。故手塚治虫氏が生前に建設を認め、除幕に立ち会ったアトムの銅像は、飯能にある、この一体だけと言われる。

 OH!!!建設をきっかけとして、「アトム像の更なる有効活用」を図ることを目的に、飯能商工会議所、(一社)奥むさし飯能観光協会、飯能JCから連名で、この像の移設も含めた嘆願書が市に提出された。これを受けて、現在、この像の所有権を持つ市が、アトム像の移転等も含めた検討に入っている。

 起工式には、ピックルス社の荻野芳朗代表取締役会長、三品徹取締役経理・財務部長、OH社の尾中社長ら関係者のほか、来賓として能仁寺の萩野住職、萩野賴子さん、大久保勝市長、上良二副市長、飯能商工会議所の矢島巌会頭ら数多くの人が招かれ、仏式で厳粛に執り行われた。

 問い合わせはOH社(メールinfo@oh-hanno.jp