空き家・空き地バンクを開始 情報公開し居住希望者と結ぶ

空き家・空き地の媒介に関し協定書にサインを交わす谷ケ﨑市長(左)と宅地建物取引業者団体関係者

 管理が行き届かない空き家や空き地が増加し全国的に課題となっている中、日高市は、市内の空き家・空き地を有効活用し、市内への定住促進や地域活性化を図るため、所有者から提供された空き家・空き地の物件情報を市ホームページ等を通じて紹介し、市内への居住を希望する人とのマッチングを図る「空き家・空き地バンク」を創設、今月から開始した。市は物件の販売や賃貸を希望する人の登録、購入や借りたい人の利用申し込みを受け付けている。

 売買や賃貸借の対象となるのは、市内全域の空き家とその敷地、市街化区域と市街化調整区域の一部の空き地。

 こうした空き家・空き地の売買や賃貸借等の媒介については、資格を有する宅地建物取引業者の協力が不可欠なことから、市は昨年末に市を所管区域とする全日本不動産協会埼玉県本部川越支部(川越市)、埼玉県宅地建物取引業協会彩西支部(狭山市)の2つの宅地建物取引業者団体と媒介に関する協定を締結した。

 同バンクを利用した売買・賃貸借の流れは、まず、所有者が、空き家・空き地の登録申請書を市へ提出し、同時に「媒介事業者一覧表」内から媒介担当者を指定。その後、所有者、媒介担当者、市の3者が物件の現地調査を実施。市が所有者に物件登録と媒介担当者の決定を通知。登録決定後は市がホームページで物件情報を発信するなどして、居住希望者を募集する。

 所有者と媒介担当者が媒介契約を締結。物件を購入・賃借する居住希望者が市へ利用申込書を提出し、居住希望者と媒介担当者が物件の現地確認や交渉等を実施。物件の価格等に納得した居住希望者は媒介担当者を介して物件所有者と売買契約又は賃貸借契約を締結し、新たな所有者(賃借人)が決定する。

 少子高齢化や人口減少を背景に全国的に空き家の増加が問題となっており、日高市でも空き家・空き地は増加傾向。住宅統計調査では2300棟前後が空き家と推定され、このうち管理が行き届かないなど問題のある空き家は1100棟前後と推定。市は正確な数字を得るために市内の全棟調査を進めており、最終的には管理不全の空き家は800棟前後になると見込まれている。

 平成25年度には、適切な管理をしていない空き家の所有者に対し、市が指導や勧告、命令などを行うことができる「空き家等の適正管理に関する条例」を制定。空き家やその敷地が適正に管理されていないことが原因で他者に損害を与えた場合、空き家の所有者がその責任を問われることとなり、市は区や自治会から苦情の寄せられた空き家について、指導を行ってきた。

 今回のバンク創設により、所有者から提供を受けた空き家・空き地の物件情報を公開し、市内への居住を希望する人とつなげ、市への定住促進、地域活性化へとつなげたいとしている。

 物件の登録や利用申し込みは市役所都市計画課または市ホームページから行うことができる。問い合わせは、同課住宅政策担当989・2111へ。