新会館建設で最終審査会 大通りの町並み意識し建物提案

会議所で行われた最終審査会の様子

 飯能商工会議所(矢島巌会頭)が平成32年3月の完成を目途に、商工会館を現在地で建て替えることに伴い実施した設計者公募事業の最終審査会が12日、同所で開かれた。会議所は、東京都内と埼玉県内限定で設計者を公募、応募のあった全40社の中から都内に事務所を置く5社が今回の最終審査に臨んだ。会議所は審査会で選ばれた業者と今月中に契約を結び、7月以降新会館の基本設計に入る予定。最終審査の結果は、近日中に会議所ホームページで発表される見通し。

 最終審査となる2次審査会は、会議所の3階ホールで午前10時から開催。5社が30分(プレゼンテーション20分、ヒアリング10分)の持ち時間で順番に新会館のコンセプト、デザイン、構造、コスト、耐火性などについてパワーポイントを使いながら発表した。

 審査員は、三井所清典氏(日本建築士会連合会会長、(株)アルセッド建築研究所代表)を委員長に、山辺豊彦氏(日本建築構造技術者協会関東甲信越支部顧問、山辺構造建築設計事務所代表)、安井昇氏(NPO法人木の建築フォラム理事、桜設計集団一級建築士事務所代表)、田島慎司氏(飯能市建設部参事兼建築課課長)、加藤義明氏(飯能商工会議所副会頭、飯能商工会議所会館建設特別委員会委員長)の計5人。

 審査に入る前、副会頭で委員の加藤氏が挨拶。加藤氏は「2020年3月には、この場所に新しい会館が建っている。我々は商工会議所の会員だけではなく、飯能市民の方々と一緒にこの会館を作っていきたいと思っている。その第一歩というか、この会館を設計して頂ける方を今日、選ぶ」と新会館建設プロジェクトに強い期待感を示し、「このプレゼンを見て頂きながら、どんな建物にしようかな、どういうふうにしていこうかなと夢と希望をどんどん膨らめて頂きながら、ぜひこの気持ち、わくわく感を飯能市民の方に、飯能中に広めて頂きたい」と傍聴者らに呼び掛けた。

 5社のプレゼンでは、大通りに面してイベントなども行える前庭を配置して、西川材の軸組み工法とCLT(直交集成材と呼ばれる注目の集成材。木の繊維方向が従来の集成材のように平行ではなく、直交しているので強度が安定しているといわれている)を適材適所で使用した木造2階建て、1階をRC造にして2~3階部分を木造にした建物、両側に個室のある箱型の鉄筋コンクリート造を配置し、その間を木造の執務室などとするプランが提案されるなどした。

 主観を排除するため、事業所や設計事務所などの名称は一切公表されずに業者プレゼンは行われ、5社はプレゼン以外での審査会場への入室が禁止された。また、傍聴者の録音、録画等も規制された。今回の一連の事務を担当する会議所職員からはプレゼン後、非公開の審査委員会を開き、最終選考結果については、これを踏まえ決定されるとの説明も行われた。

 プレゼン・ヒアリングは、一般公開で進められたことから、会場には会議所関係者のほか、飯能市内の建築家や工務店など約40人が訪れ、5社の説明内容についてメモを取るなどして、関心の高さを伺わせた。

 新会館は現在地での建設となるため、現会館の解体から新会館竣工までの間については、飯能市役所東の東京電力飯能営業センター1階を賃借し、会議所業務を行う。引っ越し時期は今秋、現会館の解体については11月の飯能祭り後が予定されている。

 新会館の事業費は、約2億7000万円と想定されており、会議所は今後、建設資金としての寄付金集めにも取り組む方針。

 最終審査会の結果は、2次審査参加者全員に文章で通知、一般には会議所ホームページで発表される。審査委員会で選定された業者と会議所が提携する業務は、事務所棟・外構、駐車場整備工事を含んだ会館建設工事の基本設計・実施設計・工事監理一式。

 現在の商工会館は、延床面積約700平方メートルの鉄筋コンクリート造3階建て。昭和39年の竣工から今年で54年が経過、随所に傷みが生じている。平成25年に実施した耐震診断で、耐震性、耐久性等に問題があると指摘されている。