名栗カヌー工房とイオンファンタジー 基本協定を締結

協定書を手にする山田代表理事(中央)、藤原社長(右)、大久保市長(左)

 飯能市下名栗の認定NPO法人名栗カヌー工房(山田直行代表理事)は、イオングループでファミリー向けの遊技施設を展開する株式会社イオンファンタジー(千葉県千葉市、藤原信幸社長)と「森林資源を活用した事業に関する基本協定」を締結した。

 同協定は、両者が連携協力して森林資源を活用した屋外型の遊びと学びの場の創出などに取り組むとしたもので、締結式は12月24日にカヌー工房施設内で行われ、大久保勝市長の立ち会いのもと、山田代表理事と藤原社長が協定書にサインを交わした。

 カヌー工房は、西川材を活用したカヌー製作教室や漕艇教室、木工教室等の開催や名栗湖の環境保全を行うNPO法人。平成16年から市の指定管理者として工房施設の管理を担うとともに、カヌーを通して体験の場の提供、都市と山村の交流、地域活性化を目的とした事業を実施。

 平成30年11月には宮沢湖畔のメッツァビレッジ内にソグベルクをオープンさせ、西川材を活用したワークショップやカヌー体験などの事業を展開している。

 市は、カヌー工房への工房施設等の譲渡を検討しており、カヌー工房からは「施設譲渡を契機に市の森林・林業、観光産業等の振興につながる事業展開を図り、市の地方創生、地域活性化に貢献したい」「新たな事業展開にあたっては、工房が手狭なことから、名栗地域の未利用公共施設等を借用して事業拡張を行い、じっくりとものづくりを嗜むことのできる“森の学校”“木工大学校”のような大人と子どもの遊び場・学び場を創りたい」との意向が示された。

 一方、イオンファンタジーは、イオングループのショッピングセンター内を中心にファミリー向けアミューズメントなどの遊戯施設を展開。国内に加え、アジア諸国へも事業を拡大し、現在、8か国860店舗を運営する。

 遊びと学びを融合させた新たな事業展開を目指す中で、カヌー工房の木工品開発技術の高さとメッツァ内のソグベルクの活動などに着目、自然を活用した遊びと学びの場を創出したいという両者の方向性が合致したことから、市が仲介し、業務提携に向けて検討が進められていた。

 協定締結式には、カヌー工房の山田代表理事、岡部素明理事、イオンファンタジーの藤原社長、浅田靖浩戦略本部長、飯能市の大久保市長、上良二副市長らが出席。

 連携協力事項は、森林資源を活用した、①遊びと学びに関すること②環境教育や普及啓発等に関すること③木質バイオマスエネルギーに関すること④地域の活性化、交流人口の増加に関すること──など。具体的な事業については、今後双方が協議の上、順次取り組みを進めていくとした。

 山田代表理事は、カヌー製作を始めた経緯や工房の取り組みを振り返り「イオンのような日本一の企業と協定を結ぶことができるとは。ものを売るだけではなく、ものづくりを提供していくことが、我々の仕事だと思っている」。

 藤原社長は「これまではエンターテイメントでナンバー1を目指そうとやってきたが、遊びだけではなく、子どもたちの学びを取り入れた事業を展開していくことが大切と考えた。カヌー工房と巡り会うことができ、飯能の自然を活用し、さまざまなことにトライして一緒に成長していけたら」と語った。

 大久保市長は「今回の締結は、飯能市にとってビッグなプレゼント。やわらかい発想で知恵を出し合い、森林資源の新たな活用を創出して頂けたら」と期待を寄せ、廃校となる中学校を含めた未利用公共施設の活用については「全てはこれから。今後、意見を聞きながら、しっかりと協議を重ねたい」などと述べた。