飯能河原、ゾーン別にルール設定 有料化、実証実験開始

バーベキューやデイキャンプのエリアがコーンで区切られた「エコBBQゾーン」

 飯能市と奥むさし飯能観光協会による、飯能河原主要部有料化の実証実験が21日、スタートした。

 利用目的別に河原を6つのゾーンに分け、屋外バーベキュースポットとして利用が多い河原主要部の利用を予約制・有料化するなど、利用する際のルールを定めた。

 期間は大型連休が終了する5月8日までだが、手法の改善などを図りつつ、実証期間終了後も継続する予定という。

 市民の憩いの場、手軽に川遊びやバーベキューが楽しめる観光スポットとして例年多くの利用者で賑わう飯能河原だが、昨年、マスクなしで大声で話したり、飲食の食べ残しを河原に残していったりとマナーを守らない一部の来場者の行為が問題となり、市と県は8月から10月にかけて河原を閉鎖した。

 市は観光協会、県と連携し、河原主要部の地域資源としての保全や美化に向けた取り組みを本格化させ、自然空間として持続的に利用出来る環境づくりを推進していくことを決定。利用方針を新たに定めるため、策定に向けた取り組みの一環として、今回の実証実験を導入することとなった。

 実証実験では、川の流れを穏やかに体感できる「静かな渓流ゾーン」、小さな子どもも安心して水辺遊びができる「親水ゾーン」、バーベキューやデイキャンプ用途に区分けされたスペースを有料で提供する「エコBBQゾーン」などと6つのゾーンに分け、各ゾーンの魅力や環境を維持・充実させるためのルールを定めた。

 そのうち、割岩橋近くの「エコBBQゾーン」については、約3500平方メートルの広さに、50枠の入場枠を設定。1枠あたり最大6人が利用でき、6人を超える場合は複数の枠に分かれて申し込む必要がある。

 利用料金は一人1000円(小学生以下は無料)とし、流域の環境保全や公設トイレの清掃・充実に向けた活動に充てられる。

 バーベキュー、焚火、バーナー、ホットプレートなど電子機器を用いた調理、それに伴う飲食などの行為は有料ゾーンを除き、飯能河原全域で禁止。

 ただし、親水ゾーンについては火気使用、調理は禁止だが、電気ケトルや小型バーナーを使ってのインスタント食品、コーヒーなどに湯を注ぐ行為に限り利用可能とした。

 利用ルールやを守れない利用者については、管理者が改善勧告を行い、即時に改善が見られない場合は退場を指示。さらに、この退場指示に従わない時は、警察への通報など厳正に対処するとした。

 利用方法は、奥むさし飯能観光協会のホームページに設置する予約専用フォームから申し込む。申し込み後、3日後を目安にSMS(ショートメッセージ)で予約確定または予約不可の連絡が来る。

 予約が確定した場合、当日は現地受付で係員に予約した電話番号で受け付けし、利用料金を支払い、専用のリストバンドを手に付ける。利用時間は午前9時から午後5時までとなり、最終入場受付は午後2時まで。宿泊や夜間利用を伴うキャンプ全般は禁止。

 実証実験初日の21日には現地で記者発表が行われ、市や観光協会をはじめ関係者により概要などの説明が行われた。その中で観光協会の古島照夫会長は「この場所は住宅も非常に近いことから、騒音やにおいなどに関する苦情があり、その状況を改善するため、この実証実験を行う。これを機に、今後の河川の利用について考えていきたい」と述べた。

 昨年の大型連休中は、多い日で1日1200人程度が利用。今回の実証実験開始にあたっては、21日時点で870人が「エコBBQゾーン」の予約をしており、祝日や土日に予約が集中しているという。