狭山茶専門店「備前屋」 釜炒り製緑茶が金賞 パリの日本茶コンクール

賞状と製品を手にする清水社長

 日高市高萩の狭山茶専門店「備前屋」(清水敬一郎社長)が手掛けた「紫にほふ 釜炒り製緑茶」が、パリで開催された日本茶コンクール「JAPANESE TEA SELECTION PARIS(ジャパニーズティー・セレクション・パリ)2021」の玉緑茶部門で金賞を受賞した。

 同コンクールでの受賞は5年連続。

 パリの日本茶コンクールは、日本茶の魅力を世界に発信して市場の拡大を図ることを目的に2017年から開催され、今回で5回目。

 審査対象は「煎茶・普通蒸し」「煎茶・深蒸し」「玉緑茶」「玉露・手揉み茶」「抹茶」「その他」の6部門。計238点の応募があり、フランスの日本茶愛好家、消費者、飲食業界関係者などが審査。備前屋の出品した製品は、「香りが豊かでピュアな味わい」などと高い評価を得た。

 緑茶の多くが茶葉を蒸してから乾燥や揉む工程を経て作られているのに対し、釜炒り製法は、蒸さずに茶葉を炒り、撹拌しながら仕上げるのが特徴。茶葉が丸みを帯びた形状になることから、玉緑茶として分類される。

 今回受賞した製品は、自社農園で手摘みにより収穫した埼玉県の品種「ふくみどり」を使用し、摘み取った茶葉を天日の下に広げて香りを引き出す萎凋工程を経て製造した。

 台湾で味わった釜炒り製緑茶の香りに憧れ、製造を始めたという清水社長。「茶葉のポテンシャルを引き出せるよう毎年工夫している。前回は同部門で銅賞だったので、より高い評価を頂き励みになる」と喜ぶ。

 製茶過程で清水社長が重視しているのが、紫外線や高温などのストレスを与えると自己防衛のために強い香気を放つ茶葉の特徴を生かした萎凋。これによって引き出される萎凋香は、以前は茶業界では欠点として見られてきたが、今では緑茶の新しい魅力として認知されるようになり、清水社長は「萎凋に適した品種と製法を追求したい」と話している。

 問い合わせは、備前屋989・2001へ。