市内男性、議会に陳情 久下六道線12メートル以下

市が16メートル幅員で事業化をプランしている久下六道線

 飯能市内に住む男性が市議会(中元太議長)に「久下六道線拡幅に関する陳情」「太陽光発電施設の建設を立地規制する条例の制定についての陳情」の2件の陳情書を提出した。

 両陳情書は、開会中の3月定例会で議長報告され、議場で全議員に写しが配布された。担当の常任委員会に付託し審査を行い、本会議で採択か不採択かを決める請願とは異なり、陳情は原則として、議会の審査対象にはならない。が、市民の声を市政に届ける手段としては有効。

 2件の陳情書を提出したのは、市内仲町在住の五十嵐勉氏。ここでは最初に、久下六道線拡幅に関する陳情を取り上げる。

 久下六道線は、飯能駅前交差点から郵便局前を通過して入間市へ続く幹線道路(国道299号として県が管理)。延長約2330メートル、幅員16メートル。

 このうち、駅前交差点から西武池袋線、JR八高線の踏切までの区間については歩道が未整備だったことから、市は平成23年に郵便局前交差点から両踏切までの間の歩道整備に着手、29年に供用開始した。

 駅前交差点から郵便局前交差点までの改良整備を選挙公約に掲げていた新井重治市長は、昨年11月に2回の地権者意見交換会を開催。

 会合では、市の担当者が駅前交差点から市道1-27号線(洋服店付近)までの297メートルについて1工区として幅員16メートルで整備したい旨説明し、理解を求めた。

 市道1-27号線から郵便局前交差点までの80メートルについては、2工区として暫定歩道整備をする。

 幅員16メートル(1工区)の構成は、車道部6メートル、路肩1メートル(片側0・5メートル)、歩道9メートル(同4・5メートル)となる。

 歩道部分については、市内道路の中でも最も広い4・5メートルで、説明会で市は居心地が良く、歩きたくなるまちなかとなるような「ウォーカブルなまち」にしたいなどとする整備方針を示した。

 陳情書の内容は、こうした市のプランについて「私自身は地権者皆さんの合意を得て着手することは賛成」と表明。が、「申し上げたいのは拡幅される道路幅員」だとして、「予定している16メートル幅員について12メートル以下にし、現道の幅員平均7・5メートルから両側に歩道を2メートル設置すればよいのではないかと考えます」と提案した。

 歩道については、「片側のみ2・5メートル(反対側は1・2メートルのガードレールまたは歩道ブロック)にすることも可能」と併記した。

 陳情者は、その理由について次のように述べている。

 「理由としては、①狭山から秩父へ貫けるバイパスが平成17年に完成し、道路の混雑がかなり解消されている。②歩行者が現道を通行する人数が少なく、通勤や買い物客は裏道を通っている状況であり16メートルに拡幅する必要性が薄い。

 ③県道飯能停車場線(飯能駅)は車道15メートル(うち歩道両側3メートル)、県道東飯能停車場(東飯能駅)は車道11メートル(うち歩道両側1・8メートル)であり、大型車両や交通量、歩行者も非常に多く、それに比べ今回拡幅を計画している国道299号(久下六道線)は2県道以上の交通量や歩行者は少ない。計画通り16メートルに拡幅する必要性は無いと考えます。

 ④火災等災害が起こることを予想しても10メートルから12メートル程度あれば延焼は防げると考えられます。⑤バス路線ではありますが、バス停も1か所のみで、バス以外の大型車両が走行することはほとんどないため、車道は現道幅で、歩道は両側(各2メートル)または片側2・5メートル(反対側は1・2メートルのガードレールまたは歩道ブロック)だけ設置すればよいのではないかと考えております。

 ⑥16メートルとして全線電柱地中化も実施すると数十億掛かるのではないか。国庫補助事業として採択され国費を入れても、市費は相当大きな額になります。ちなみに、街路分の補助率は50%、電線地中化は55%となっております。

 ⑦事業期間も計画通り16メートルで施工すると、建物移転に時間を要し、全線完成するまで予算との兼ね合いもありますが、7年以上はかかり、仮に片側歩道2・5メートルのみの場合は5年程度で完成できると考えます。片側2・5メートルのみの歩道設置であれば、市費のみの単独予算でも可能と考えております。

 ⑧飯能市は2014年5月に日本創生会議において消滅可能性都市として示されており、2010年の人口8万3549人から2040年には6万3075人と24・5%の人口減少となり、また今後、日本の人口が大きく減少していく中で将来を見渡すとき、昭和26年に都市計画決定をされた久下六道線について歴代の市長が手を付けなかったのも考え合わせると、最少の経費で最大の効果を生むには、歩道設置のみ12メートル以下でよいと考えます。

 なお、両側歩道の必要性は十分理解できますが、片側歩道(反対側の歩道はガードレールまたは歩道ブロック)のみも十分に検討をする必要があります。

 以上のとおり、選挙公約には幅員が明記されていないので市長はよく検討をしていただき、地権者の合意だけでなく市民全体の意見に耳を傾注するようにお願いをいたします。私は、市街地を迂回するバイパスができた平成17年に久下六道線は図上のみ残っている道路と認識していました。

 市議会としても来年度予算には測量等関連する予算が計上されると思いますので、笠縫・岩沢・双柳の完成が見えない区画整理や下水道整備など都市基盤整備、子育て、介護、障がい者(児)、医療等福祉、教育に重点を置き、街路事業は多額の財源が伴うので慎重に審査をしていただき、将来禍根を残さないようにご配慮願いたく陳情といたします」。