来年1月から阿須ガード拡幅 令和9年まで全面通行止め 沿線、期待と不安の声

現況5・5メートルから12メートル幅員へと拡幅される阿須ガード

 飯能県土整備事務所は10日、飯能市の阿須自治会、同第二自治会、県道富岡入間線道路整備促進協議会を対象にJR八高線の「阿須ガード拡幅事業説明会」を開いた。

 本紙が入手した当日の資料では、本体工事が行われる来年1月から令和9年3月までの4年間、阿須ガード区間は全面通行止めとなることが分かった。

 同事業では、県道富岡入間線が地方の生活圏や主要な都市圏域の骨格を形成する重要な道路であることから、広域迂回路が設定されている。

 が、長期におよぶ通行止め期間に対しての理解とともに、地元の阿須や隣接する落合など周辺地区生活道路への車両の流入対策をどうするかが大きな課題となりそう。

 阿須ガードは、阿須の市民体育館や駿河台大学前を東西に伸びる主要幹線の県道富岡入間線がJR八高線で交差する部分。

 ガード部の長さは約20メートル。幅員については5・5メートルしかなく、大型車が通ると対向車はガードの手前で待機しなければならず、また、歩行者も体のすぐ脇を通過する車両で安心してガードを歩けないなどの問題があった。

 阿須地区の県道富岡入間線沿いには阿須運動公園、市民体育館など市の主要な体育施設、メッツァ開業の相乗効果で来園者が激増しているトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園、駿河台大学などが立地。さらには、大型商業施設も開業し、交通量は増加している。

 平成27年、地元阿須地区や隣接する落合地区など周辺4自治会は、狭幅員の阿須ガードの改良、歩道設置など県道富岡入間線の沿線整備を推進するための組織である道路整備促進協議会を設置。これまで、飯能県土整備事務所や飯能市へ同線の改良を働きかけてきた。

 資料によると、阿須ガード拡幅事業では、現況5・5メートル幅員を12メートル幅員に拡張する。構成は車道6メートル、路肩1メートル、歩道5メートル(両側各2・5メートル)。

 通行止め区間は、県道富岡入間線が阿須小久保線と丁字路で交差する付近から阿須ガードを過ぎ、阿須交差点まで。通行止めの期間は来年1月から令和9年3月までの4年間となる。ただ、阿須ガードの西側部分から阿須交差点までの一部については、沿道住民に限って通行は可。

 事業のスケジュールとしては、今年1月から行っている支障物移転工事を12月まで実施。その後、令和5年1月から通行止めにして、8年3月まで本体工事に着手。同年4月から翌9年3月まで復旧工事を行うというもの。

 工事期間中における県道富岡入間線、阿須地区周辺生活道路への車両の流入を抑制するため、国道・県道へ迂回を誘導する。

 迂回路として設定されているのは県道富岡入間線南側を東西方向に走る青梅入間線、二本木飯能線、国道299号及び同バイパス、馬引沢飯能線、青梅秩父線、飯能下名栗線など。

 迂回を誘導するための取り組みとしては、県道富岡入間線に進入する手前の入間市分の主要道路の交差部などには「まわり道」の看板を設置する。

 また、豊水橋近くの春日町歩道橋や、馬引沢飯能線の新光歩道橋などには「横断幕」も掲出して、県道富岡入間線阿須ガード工事に伴い、阿須ガード区間が終日通行止めであることをドライバーに周知する。

 全面通行止区間を避けるため、県立飯能南高校や市立加治中学校前の市道を利用して迂回しようとする車両の増加が懸念されるが、抜け道交通の進入抑制として、加治橋側と阿岩橋側の2か所に道路を狭くして車両の進入を制止するための狭窄部を設ける。

 また、学校前には、歩車分離と車両の通行位置を明示するラバーポール、ガードレールを設置する計画。

 県道富岡入間線道路整備促進協議会を立ち上げ、阿須ガードの拡幅などを関係機関に要望してきた地元と周辺自治会にとって、今回の県の事業着手は朗報。

 が、一方で、長期間におよぶ全面通行止め規制による地域経済や道路利用者、迂回車両進入による地域交通安全への影響を不安視する声も聞かれる。

 県道富岡入間線沿道に住む男性(60代)は、「危険だったガードが改良されるのは本当に良かった。事業には大賛成。しかし、迂回する車が静かだった地区内に入り込んでくるのではと不安もある。事故でも発生したら本末転倒。関係者は、そのあたりの対応もきちんとやってほしい」。

 別の男性は「ガードの拡幅は必要な事業。でも、4年間の全面通行止めは長すぎ。行政は工期短縮も含め、通行止め期間の再検討をしてほしい」と話している。