飯能市がパートナーシップ制度 同性カップルの関係を公認 来年1月1日導入

飯能市役所

飯能市は、来年1月1日から「市パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入する。これは、性別などの違いに関係なく、互いに人生の相手方として尊重し、日常生活において継続的に協力しあうパートナー、ファミリーであることを自治体に宣言したり、届出をすることで、自治体が公的に認める制度。

届出をすることで、配偶者や家族などを対象としている行政サービスなどが受けられるようになる。携帯電話の家族割を適用している民間事業者もある。

西武線沿線の近隣市などについては、入間市が今年9月、狭山市は10月に制度化。所沢市、日高市については飯能市同様、令和4年1月に導入予定という。

平成27年11月に東京都渋谷区、世田谷区が全国で初めてパートナーシップ制度を導入。以来、同制度を導入する自治体は全国でも増えている。

埼玉県内についてみると、10月現在で、18の自治体が導入済み。同制度は多様性への理解の必要性や「誰一人取り残さない」というSDGsの理念からの導入が望まれており、飯能市についても導入に向け検討を進めてきた。

性的マイノリティなど、さまざまな事情を抱えて生きづらさを感じている人たちに寄り添い、悩みや不安を少しでも軽減できるよう支援するとともに、市民一人ひとが多様性を認め合い、互いに尊重しあい、誰もが自分らしく生き生きと暮らせる社会の実現をめざすことが、市が来年1月1日に導入するパートナーシップ・ファミリーシップ制度の趣旨。

同性カップルを承認し、証明書を発行することで、一定の権利を認めるパートナーシップ制度だが、市は併せてパートナーシップの届出をした同性カップルの子についても、家族として公認できるようにした。

同制度対象には、互いにパートナーと承認している一方または双方が性的マイノリティであるカップルとその子どもなど。民法上の成人であり、飯能市内に住所を有し、配偶者(事実婚)がいないこと。また、当該パートナー以外の者とパートナーシップの関係にないことなどの要件を満たすことが必要。

該当者は、市にパートナー・ファミリーとして協力しあう旨を約した届出書、住民票の写しまたは住民票記載事項証明書のほか、戸籍全部事項証明・独身証明書その他の婚姻をしていないことが確認できる書類を提出。

届出が受理されると、審査後、届出者に地域活動支援課から「パートナーシップ・ファミリーシップ届出受理証明書」及び「パートナーシップ・ファミリーシップ届出受理カード」が交付される。

パートナーシップ、ファミリーシップの届出をすることで、現在、配偶者や家族などを対象としている行政サービスの一部について、パートナーやファミリーでも対象となるよう、市は関係各課と調整を行っており、これらは整ったものから順次、実施していく方針。

民間事業者については、パートナーシップ制度を活用して各種サービスを実施しており、事例としては▽携帯電話会社の家族割の適用▽生命保険の死亡保険金の受取人として認められる▽賃貸住宅などの入居契約が可能となる▽医療行為などでの同意が認められるなどがある。

制度化へ向け、市は12月下旬に要綱を制定する。制度導入で、市は学校、職場、地域などあらゆる場面でのハラスメント防止策の強化につながると期待している。