ノーラ名栗 知名度アップで利用好調 雇用など地域へ効果波及

グランピングも人気のノーラ名栗

 飯能市下名栗に今年4月29日にグランドオープンした市の観光・農林振興施設「ノーラ名栗」の今年4月から7月までの利用者数は4万4168人となり、昨年度利用者数の約60%を4か月で達成したことが分かった。

 ノーラ名栗は、カフェ&ショップヤマセミ、ステージ付き広場のセントラルパーク、テントサウナなどがある施設。ワンダーワンダラーズ(東京都中野区・須藤玲央奈代表取締役)が指定管理している。

 利用者数が増加している理由として、市は昨年8月にオープンしてから約1年が経過し、様々なメディアへの露出による知名度の上昇。グランピングエリアの運営開始が始まったことの相乗効果が大きく寄与していると、分析。グランピングは、夏休み期間中9割ほどが埋まるなど、ほぼ満室状態だった。

 施設の主な取り組みとしては、昨年8月のオープンから1年が経過したことを受けて、ヤマセミでの購入者向けに、地元農産物の周知も兼ねて地元特産品である名栗まんじゅうや原市場地区のジャガイモを購入特典とするプレゼント企画を実施した。

 また、観光コンシェルジュ発案の「棒ノ嶺ツアー」を山岳ガイド経験のある従業員が実施。利用率をさらに高めるため、観光案内にとどまらず、ツアーの企画や地元観光施設との相互連携等、観光コンシェルジュ機能を強化する方針だ。

 地域への効果として、雇用面では事業開始に伴う新規雇用者は36人で、うち市内在住者は24人。新型コロナウイルス感染症の影響により自粛しているマルシェやイベントなど、今後の各種事業の展開によっては一層の雇用増が見込まれそう。

 施設はまた、教育現場との連携についても積極的。名栗小学校からの申し出により児童を招いて、施設見学会も行った。参加した児童からは「名栗の木がたくさん使われているんだね」「ステージの上で合唱ができたら気持ちいい」などの意見が寄せられたという。

 地域の歴史や森林体験プログラムの授業など施設を利用して実施するための協議を今後、続けていく考えだ。

 商店街などとの連携に関しては、飯能商工会議所を通じ、市街地事業者の商品の販売やマルシェへの出店に向けて現在、検討中。また、市街地事業者にとどまらず、市内事業者から施設での活用について意見が寄せられており、活用方法について検討を重ねている。

 奥むさし飯能観光協会とは、双方で観光コンシェルジュを配置していることから定期的な意見交換を実施。また、名栗地域をはじめとする市内の観光施設を巡る観光研修なども複数回実施し、互いの知見向上にも努めている。

 ヤマセミ内の加工室を使用し、名栗まんじゅうなどを製造している「なぐり特産品協議会」と連携し、季節限定の新茶まんじゅうや平九郎まんじゅうの販売を実施したところ、利用者からは好評の声が寄せられた。

 現在、精明地区農家とも連携し、果樹を使ったアイスクリームやジャムの商品化に向けて取り組んでおり、名栗まんじゅうをはじめとする特産品の継承を続けるとともに、新たな商品開発、販売にも注力する。

 施設で使用する肉や野菜などのバーベキュー食材やテントサウナで使用する薪など、仕入れの多くを市内事業者が占めているのも施設の特筆すべき点。薪については、定期的に月約13立方メートルほどを仕入れており、施設内で使用する修繕陽の木材などについても業者から納入を受けるなど、西川材の利活用にも意を注ぐ。

 市と聖望学園が連携し、森林に放置された間伐材を有効活用する取り組みを進めている。このほど、聖望学園の生徒が周辺森林の間伐材搬出及び間伐材ベンチの製作を行い、完成したベンチを施設内に設置した。