旧東吾野小跡地に来春開校「わせがく夢育高校」 市、9月議会へ関連議案

通信制高校が開校する旧東吾野小建物

 飯能市は、旧東吾野小学校の土地と建物について、学校法人早稲田学園(東京都新宿区高田馬場)=以下、早稲田学園=へ貸し付ける。

 同学園は、同地に「(仮称)わせがく夢育高等学校」=以下、夢育高校=を令和4年4月開校する計画。市は、関連議案を9月3日開会の9月議会へ提出する。

 市が早稲田学園に貸し付けるのは、旧東吾野小の土地1万4941平方メートルと校舎、体育館など。建物の延床面積は3441平方メートル。

 早稲田学園は、同場所に通信制高等学校の夢育高校(普通科、修業年限3年以上)を来年4月に開校する。定員は1学年210人の合計630人。

 生徒は週5日間通学する全日型、週2日間通学する通学型、通信で学ぶ自学型の中から、自分に合った学習方法を選択できる。

 貸付金額について、時価では月額92万6200円。が、毎月13万8466円を減額し、月額78万7734円とした。貸し付け期間は令和3年10月1日から8年9月30日までの5年間。

 減額した理由について、市は地域の発展、地域貢献に資する学校運営を行うことを踏まえ、旧東吾野小の閉校直前の過去3年間の学校開放による地域住民・団体等の使用実績のほか、使用面積、電気料等を試算し、その相当額を控除する必要があると判断したため──と説明。

 一昨年10月の台風19号で、旧東吾野小も被害を受けた。渡り廊下に土砂が流入したほか、体育館も雨漏りなどが発生している。

 貸し付けるにあたり、市はこうした復旧工事について、市が工事を直接発注するのではなく、早稲田学園が開校準備のため実施する施設内装等の改修工事と一体的に発注する方が工事スケジュールや工期短縮などの観点から効率的であることから早稲田学園側が実施し、その上で市が工事をした場合に要する経費を負担金として学園に支出することとした。

 この経費について、市は市内事業者3社から見積もりをとり、最低価格の金額である1265万円を採用し、市負担分とした。

 市が9月議会に提案するのは、早稲田学園の地域貢献を考慮した上での財産の減額貸付に関する議案、台風19号による崩落土砂の撤去及び体育館渡り廊下の修繕並びに体育館の雨漏りなどに関する経費についての補正予算案となる。

 早稲田学園は、早稲田予備校の運営のほか、平成15年4月に千葉県香取郡にわせがく高等学校(本校)を開校しているほか、千葉県内に4か所、都内に1か所、埼玉県内・茨城県内・群馬県内に各2か所のキャンパスを設けている。毎年度の生徒規模は約1400人。卒業生は開校以来、7000人を超える。

 夢育高校での地域貢献として、早稲田学園は地域人材を活用した授業・部活動を展開するとともに、地域との連携により生徒を地域行事等へ参加させ、地域の教育力を生かした学校運営を行う。

 また、地域住民のレクリエーション、健康づくり、コミュニティの場として校庭、体育館、校舎を開放する。災害時には地域住民の避難所として学校を開放し、災害支援に協力するなどとしている。