「織研賞」贈呈式に出席する中里社長(右から2人目)

「織研賞」贈呈式に出席する中里社長(右から2人目)

 飯能市川寺の老舗織物メーカー「マルナカ」(中里昌平社長)が、繊維・ファッションとライフスタイル関連ビジネス発展に寄与した企業・団体、個人に贈られる織研新聞社の第43回「織研賞」を受賞した。

 明治元年(1868年)創業のマルナカは、「ファッション業界の裏方」を自負して織物製造を続けており、全国的に織物産地が疲弊化し縮小してきた中にあって、伝統と新たな技術を融合した高品質なものづくりが高く評価された。

 生糸や織物の産地として栄えた飯能に産声を上げたマルナカ。その歴史は150年以上を誇る。戦後には復興の担い手となった繊維業界だが、次第に海外製品が市場を占めるようになり、婦人服地など汎用性の高い織物を生産していた同社は、高い技術力が必要な生地の受注生産に力を注ぐようになった。

 特殊な織りが可能なドイツのドルニエ社製織機を導入し、絹や麻、シルク、ウール、合成繊維など幅広い素材に対応。デザイナーの注文に応え、柄が複雑で多彩なデザインを具現化し、実績を重ねた。

 平成24年に開業した東京スカイツリーのスタッフの制服の生地を手掛け、そして今年には、東京オリンピック・パラリンピック表彰式で使用される衣装の生地製造に携わった。

 第43回織研賞の受賞者は、マルナカのほか、「ビューティフルピープル」(デザイナー・熊切秀典氏)、「マメ・クロゴウチ」(デザイナー・黒河内真衣子氏)、「スタッフスタート」(バニッシュ・スタンダード)、「モンベル」、特別賞に廣内武氏(オンワードホールディングス最高顧問)。贈呈式は7月7日に都内で行われた。

 マルナカについては、培ってきた技術やノウハウの高さ、国内有数の織物設備、新たな技術への対応など、一歩先を見据えた取り組みが評価された。ファッション業界の勲章ともいうべき「繊研賞」の過去の受賞例をみると、デザイナーやブランドがその中心であり、製造業での受賞者は数少ない。

 ただ注文に応えるのではなく、企画段階から一緒に考える仕事を増やすよう心掛けてきたという中里社長。今回の受賞に対し「ファッション業界の裏方を自認し、黒衣に徹してものづくりをしてきたので、栄誉ある賞を頂き驚いている」と話し、デザイナーをはじめ、材料供給の紡績やメーカー、糸染めや仕上げ工場などといった関係者の支援のおかげと感謝。 

 「物流のスピード化により、素材別に伝統と歴史を持つ全国の産地との協業のもと、あらゆる繊維素材の織物生産が可能になった。都心から最も近い織物製造工場として、地の利を生かしたものづくりに徹し、クリエイティブな質の高い感性の具現化に一層精進して参りたい」と展望を語っている。