カヌー工房、完全民営化 9月議会に廃止条例案提案

名栗カヌー工房が管理代行している市カヌー工房

 飯能市は、下名栗の名栗湖畔にある市カヌー工房を認定NPO法人名栗カヌー工房(山田直行理事長)=以下、名栗カヌー工房=による完全民営化とする方針を固め、事務手続きを進めている。

 今後の予定として、市は9月定例市議会に廃止条例案など関係議案を提案し、議会の承認を得る。

 市が示した民営化スケジュールによると、現在の指定管理者制度による名栗カヌー工房の管理運営が終了するのは、令和4年3月31日。翌日から名栗カヌー工房による完全民営化がスタートする。

 飯能市カヌー工房は、都市と山村の交流、スギ・ヒノキなど森林資源の有効活用を図ることを目的に、合併前の旧名栗村によって平成8年に設置された。

 16年4月からは名栗カヌー工房が指定管理者として、市カヌー工房の管理代行を開始した。

 管理代行が今年度で18年を数える名栗カヌー工房。現在までの間、カヌーの製作や漕艇の指導など、施設が提供するサービスの専門性や特殊性から、その高い技術と経験、知名度を生かし、施設の管理運営を効率的・効果的に行い、利用者や地域住民等から高い評価を得ている。

 また、法人の定款等に基づき、地域社会の活性化を図ることを目的に、青少年の健全育成など地域に根差したさまざまな活動も展開。その高い公共・公益性が認められ、28年には県から認定特定非営利活動法人に認定されている。

 市は、名栗カヌー工房のこうした実績を評価。30年3月の庁内会議での市カヌー工房の指定管理者制度更新方針を審議する中で、名栗カヌー工房への施設等の譲渡を前提として民営化の検討、関係者との調整など課題の整理を行うため、指定期間を最短の3年(原則として3~5年。施設ごとに設定)とする方針を定め、同年12月議会の市議会全員協議会で説明。

 12月議会に提案したその指定議案については、全会一致で議決された。

 施設の所有や管理を名栗カヌー工房に移管するのは、法人の自由な発想による自主的な運営に託すことで、利用者のニーズにより合致したサービスの提供、新たな事業展開による利用者の確保。さらには、周辺観光施設との連携による集客等による地域の活性化が期待されるため。

 また、名栗カヌー工房については将来にわたり、施設の管理運営を通じて市の森林・林業、観光産業の振興につながるより発展的な事業展開を図りたいとの意向がある。完全民営化へ移行することにより市の利益増進につながると、市は判断した。

 市によると、令和4年3月31日をもって行政財産の用途を廃止し、普通財産に変更した上で、名栗カヌー工房に土地を貸し付け、建物等を譲渡する。

 譲渡対象物件は、建物としてカヌー工房(平成8年6月設置)床面積約470平方メートル、もりの科学館(13年3月増築)床面積約120平方メートル。備品として万能木工機、集塵機、糸鋸盤、彫刻機ほか一式。

 また、貸付対象物件は、現在のカヌー工房が立地する場所と隣接する駐車場のほか、ダム管理事務所側の旧工房跡など。土地について譲渡ではなく貸付とした理由について、市は「当該土地が有間ダムの湖面に隣接していることから、将来にわたりダム周辺の自然景観や環境を守っていくためには、今後も引き続き市が土地を所有することが最善と考えたため」と説明している。

 建物の譲渡価格等の条件については、不動産鑑定士による鑑定評価を行った上で、建物等の使用目的の公共性や公益性などを勘案して設定し、市公有財産処分審査委員会の審査等を経て決定される。