大通りの飯能商議所商工会館 木材活用コンクールで優秀賞

木材が多用、開放感あふれる商議所事務室

 令和2年3月に飯能市本町の大通りに面して竣工した飯能商工会議所(矢島巌会頭)の商工会館が、今年4月開催の第24回「木材活用コンクール」(日本木材青壮年団体連合会主催、農林水産省・国土交通省ほか後援)で優秀賞((一社)全国木材組合連合会会長賞)を受賞した。

 地元産出の木材である西川材を多用した同商工会館については、昨年10月の第6回「ウッドデザイン賞2020」で受賞作品に選出されたほか、TV番組「ガイアの夜明け」で紹介されるなど関係業界のみならず、多方面から関心が向けられている。

 飯能商工会館は、木造地上2階建の建物。延床面積は約755平方メートル。野沢正光建築工房(東京都世田谷区)の設計。

 建物は地元西川材が多用され、東・西棟とそれを繋ぐ通路で構成されたシャープな外観が特徴。

 建物は古来の軸組工法とCLT(木材を縦と横に交互に重ねた厚い木質パネル)を用いて建てられ、独創的。西棟に商議所事務室や観光協会の事務局、会頭室など。東棟に市民にも開放される大会議室などが配置されている。

 江戸時代、会館が立地する付近の大通りの商家と通りの間には「庭」と呼ばれる半公共的な空間があったという。商工会館は、中庭やエントランスホール、屋上などを令和の庭として再現されているのも特筆すべき点だ。

 第24回木材活用コンクールは、木材の新たな利用、普及の可能性をさぐり、木材業界の活性化に寄与することを目的として、平成9年に創設された全国規模の催し。

 木の伝統と文化を次世代へ繫ぐため、「木の良さ」を生かした作品や従来にはない新しい木材の利用や見せ方、工法などを用いた「木材の新たな可能性」を追求する作品について、4つの部門を設けて募集。

 応募資料を対象に、作品は▽木の良さが生かされているもの▽木材の新しい用途の普及に寄与するもの▽建築物の木造化、木質化に波及効果があるものなど7項目を考慮して判定される。

 今回は、令和2年12月1日から3年1月15日までの間で行われた応募に114点の作品が寄せられ、予備審査で74作品が選出。その後の最終審査会で受賞作品22点が選ばれた。

 最終審査会に残った飯能商工会議所の商工会館は結果、最優秀賞こそ逃したものの、5作品にのみ贈られる優秀賞((一社)全国木材組合連合会会長賞)を受賞した。

 同商工会館については、昨年10月に行われたウッドデザイン賞2020でも受賞作品に選定。建築関係コンクール2度目の受賞に関係者も声を弾ませている。