暮らしの中のてぬぐい 往時飯能市民の〝粋〟の一端も

シンプルながらデザイン性の高い品に見学者も熟視

 手や体を拭くだけでなく、かつては「姉さんかぶり」で頭部を覆ったり、時には赤ちゃんのおしめに使われたりと、多用途だった「てぬぐい」。

 飯能市立博物館は、生活必需品であるとともに今以上に暮らしの中に溶け込んでいたてぬぐいにスポットを当てた収蔵品展「てぬぐいの中の飯能」を開催している。5月9日まで。

 同博物館によると、てぬぐいが広く一般に普及するのは木綿生産が各地で行われようになった江戸時代以降。さまざまなサイズのものがあったが、幕末の頃に約30センチ×約90センチの現在のサイズが標準的になったという。

 展示されているてぬぐいは、60点ほど。昭和30~40年代頃の飯能の商店や事業所が宣伝用に作成したものや、料亭がひいきの客に贈ったてぬぐいなどが見学者の目を引き付けている。

 天覧山麓大競馬会(大正13年)、第5回奥武蔵駅伝競走大会(昭和31年)、飯能信用金庫(同30年代)、丸広百貨店の前身丸木百貨店(同32年頃)、丸中織物(同20~30年代)、須田屋呉服店(同30年代)、鈴木屋本店(同)などに交じって平山蘆江(作家)の都々逸入りの東雲亭のものも。

 また、当時の飯能市観光協会と同市商工観光課が作成したてぬぐいも展示。縦型の同てぬぐいには、飯能芸者の舞姿とともに「山はてんらん 流れはなぐり」のキャッチコピーが添えられた粋なデザインで、花街があった往時の飯能をうかがい知ることができる。

 「てぬぐいの中の飯能」展の会場は博物館特別展示室。午前9時~午後5時。月曜と祝日の翌日が休館。問い合わせは、同館(972・1414)へ。