現指定管理者を継続 さわらびの湯指定管理 将来的に民間譲渡も視野

名栗地域の重要な観光拠点、さわらびの湯

 飯能市は、さわらびの湯(下名栗)の指定管理者の指定期間が今月末で終了することに伴い、現在の指定管理者である「名栗さわらびの湯共同事業体」(中藤下郷、鈴木茂代表)について引き続き選定した。

 現に指定管理者として指定している団体の実績等の評価が良好なこと、地域に施設が密着していることなどから、市は選定に当たっては非公募とした。

 一方、施設については躯体や設備に老朽化が著しい。市は、指定管理期間では施設維持を最優先して大規模修繕はせず、不具合が生じているところから順次修繕を行う方針。指定管理期間は3年間。

 さわらびの湯は、名栗湖下方に立地する温泉施設。都市と山村の交流とともに、市民福祉の増進を図ることを目的に平成6年10月に設置された。

 施設は、延床面積約880平方メートルの木造2階建(1階RC造)。1階に浴室、スチームサウナ、露天風呂、脱衣場、ラウンジ、休憩室など。2階にホール、ロッカー室、下足室、事務室などがある。

 源泉は、有間ダムの築造工事に伴って発見されたもので、施設ではボイラーで温度を上げて利用者に提供している。

 当初は、村(平成17年の合併は飯能市)の直営だったが、平成20年度から民間業者等の能力や手法を活用することで、きめ細やかなサービスが展開できる指定管理者制度を導入。現在に至っている。

 指定管理者として選定された業者は、名栗さわらびの湯共同事業体。同指定管理者は良好な収支状況や利用者サービスが評価され、21年度から現在まで市の指定管理者事業評価において、最も優秀な「S評価」を受けている。

 指定管理期間の満了に伴い、指定管理者の募集については公募または非公募のどちらかで、市によって実施される。さわらびの湯については、良好な事業運営とともに地域との連携や協力を積極的に行うことにより、密接な関係を築いており、名栗地域に欠かせない観光拠点として認識されている。

 このため、今年度を持って指定管理期間が終了するものの、市は新たな業者を公募せず、施設に精通している名栗さわらびの湯共同事業体を引き続き、さわらびの湯の指定管理者として選び、議会も承認した。

 指定管理者の施設運営期間は、3年~5年。さわらびの湯の次期指定期間については、令和3年4月1日から6年3月31日までの3年間とされた。

 さわらびの湯の施設については、総合振興計画実施計画(3年度事業)に老朽化への対応や施設の魅力アップを図るための大規模改修工事が位置付けられている。2年度に設計委託業務を実施したが、躯体や設備の老朽化が想定以上に著しく、実施計画を上回る改修費用が必要となる事態に。

 構造部材や木材接合部の腐食、天井羽目板の落下のほか、浴槽からの漏水、浄化槽や自動ドアの耐用年数の超過といった問題が見つかった。

 そのため、市は全部長を委員にした「さわらびの湯在り方検討委員会」を庁内に設置、施設の今後の在り方についての検討に入った。

 検討委は、現施設については費用対効果を踏まえ、必要最小限の施設修繕により施設運営を維持しつつ、同時に民間投資による事業拡大の可能性、実現性を探るため、サウンディング等の市場調査を実施し、グランドデザインを描いていくこと。そのため、サウンディング等の市場調査、グランドデザイン作成等の期間を確保するため、3年4月から3年間の指定管理期間で当該施設の運営を継続することと、市に検討結果を報告。

 これにより、さわらびの湯の次期指定管理期間は3年間とされ、指定管理期間には大規模修繕は行わず、施設維持を最優先に、不具合が生じている箇所から順次修繕を行うこととなった。

 今後のさわらびの湯の在り方について、市は「現状の指定管理者による施設管理運営(公設民営)を行うことにとどまらず、PFI(民間の資金とノウハウを活用し、民間主導で公共サービスを行う)、民間譲渡、施設の貸し出し等の民間投資による新たな施設運営や事業展開も視野に入れ、庁内組織による検討を行う」などとしている。