福祉センターでシミュレーション 動線や接種時間など確認 ワクチン集団接種

集団接種のメイン会場となる総合福祉センター

 飯能市議会3月定例会は17日、市長提案された議案に対して各議員が疑義を質す議案質疑が行われ、このうち、議案第1号「令和2年度市一般会計補正予算案」に対して、加涌弘貴議員(飯能みらい)が、新型コロナウイルスワクチンの市内への供給時期及び量、接種スケジュール、市民からの相談受付体制がどうなっているのなどについて質した。

 補正予算案には、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に要する経費が計上されている。市民接種に必要なワクチン確保について、町田守弘健康福祉部長は「国からの情報提供はなく、詳細が分からない状況」としながらも、「ワクチンが供給され次第、速やかに接種を開始する」との考えを示した。

 また、総合福祉センターで集団接種を想定した確認作業を今月中にも行うことも明らかにした。

 【加涌議員の質疑と町田健康福祉部長の答弁】

 ▽加涌議員=新型コロナウイルスワクチン接種事業がはじまる。まずは休日返上で連日、深夜遅くまで対応に追われている職員の皆様に心よりお礼申し上げる。

 新型コロナの感染拡大が止まらない。また、やっかいなことにイギリスでの変異により感染力が高まった変異株が国内に入り、さらなる感染拡大を招く懸念が高まっている。

 今後のワクチン接種で集団免疫ができ、新型コロナが収束することに大きな期待を寄せている。具体的な接種方法は、市に委ねられているとのことである。

 コロナから市民の命と健康を守り、日常の生活を取り戻すために最優先で取り組んでいただきたい。そういった思いで、質疑をさせていただく。

 まず、17日より医療従事者向けにワクチンが先行接種された。今後、65歳以上の高齢者が4月上旬以降に行われ、高齢者以外は未定とのことである。

 ワクチン接種については無償である。16歳以上の市民約7万9200人が対象で、3週間以内、2回接種で15万8400回接種していく方針である。

 さまざまな情報が錯綜している。まずは市民に十分の量のワクチンが確保できるのか、お伺いする。また、迅速な接種が望まれているが、いつまでに終わらせる予定なのか。

 また、今後の詳細なスケジュールについても聞く。

 ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3製薬会社のワクチンが薬事承認される。ファイザーは既に承認されている。接種されるワクチンの種類は市民に周知されるのか。また、疑問、不安を懸念する声もある。様子を見てからとする市民も多いのではないか。

 接種を促すためにも、専門的知識のある医師などによる的確な相談体制が求められてくると思うが、副反応などへの相談体制はどうなっているのか。

 また、先行する海外ではアストラゼネカのワクチンは、65歳以上の高齢者や変異株には効果が薄いとの一部報道もあったが、この点については、どうか。

 集団接種での感染防止対策としての3密対策、アナフィラキシーなど副反応への対策も重要。どのような対策を講じられるか。個別接種も検討中とのことだが、スタッフの確保など医療機関も大変。接種方法について、地元医師会との協議の状況についても尋ねる。

 自宅療養されている障害者の方、要介護の方など訪問診療を活用し、在宅接種など特別な接種体制は整備されるのか。

 職員体制について。準備も多く大変。担当職員4人では、本当に大変ではないかと懸念する。ワクチンの保管方法や使用期限など制約がある中で、無駄なく効率よく短期間で接種する必要がある。

 また、準備や市民への周知も大変。健康づくり支援課は、保健所、医療機関との折衝などコロナの感染防止対策にも当たられている。

 全庁的に万全の体制で取り組むとのことだが、職員は通常業務もある中で、具体的な応援体制をどのように構築していくのか。

 ▽町田健康福祉部長=ワクチンについて十分な量を確保できるのかについて。新型コロナウイルスワクチンの供給見込み量については、国が直接、製薬会社から購入することとなっている。

 このことから、国ではファイザー社から7200万人分、モデルナ社から2500万人分、アストラゼネカ社から6000万人分の供給を見込んでいる。

 そのうち、国内で初めて接種が可能となったファイザー社については、2月14日に承認され、17日から医療従事者向けが先行接種された。また、アストラゼネカ社については、2月5日に承認申請が出されている。

 しかし、現時点ではいつ、どの程度のワクチンが供給されるのかといった、国からの情報提供はなく、詳細が分からない状況。

 そうした供給量が不透明である中、今後の詳細なスケジュールについても65歳以上の高齢者向け接種については、4月1日以降とされたままの状況であり、基礎疾患を有する方や、その他の方の接種を含め、具体的なスケジュールは示されていない。

 本市としては、ワクチンが供給され次第、速やかに接種を開始し、国の示す接種期間内に接種ができるよう準備を進めている。

 接種されるワクチンについては、基本的に接種場所ごとに取り扱われるワクチンは原則1種類とされている。そのため、接種の実施に当たって、どのメーカーのワクチンを扱っているのかは、国が整備する「コロナワクチンナビ」で分かる仕組みとなっている。

 そのため、本市においては国が整備するシステムに連動した予約管理システムを構築し、それらの情報が反映できる仕組みとなるよう準備を進めている。

 また、ワクチンの効果や副反応については国の示す情報を迅速にとらえ、市のコールセンターでの対応を始め、広報紙やホームページなどで周知を図っていく。

 なお、不安を抱える市民が多いことも考えられる。そのため、専門性の高い相談に関しては保健師等専門職による丁寧な対応に取り組むとともに、相談内容に応じて県の相談窓口を紹介するなど、相談者の不安が早急に解消できるよう、相談者の立場に立って必要な対応に努めていく。

 また、国やワクチンメーカーでも国民や医療従事者向けの相談窓口を開設しているので、これらの相談窓口の情報についてもあわせて情報発信する。

 さらに、身近なかかりつけ医の医師からも接種に関する説明や相談をお願いできないかとか、市内各医療機関にもご協力いただけるよう調整を進めている。

 アストラゼネカ社のワクチンに関する一連の報道に関しては、本市としても承知している。このワクチンに関しては、現在申請中なので、国が適切に審査し、承認する際に判断されるものと考えている。

 接種会場については現在、飯能地区医師会のご協力をいただきながら進めている。救急専門医からもご助言をいただき、会場レイアウトや人員配置、救急医療危機等のアドバイス等をいただきながらシミュレーションを行い、万が一の場合に添えた想定を整理しながら準備を進めている。

 一方、個別接種については、飯能地区医師会に調整いただき、市内に所在する複数の医療機関からご協力が得られる見込み。ご協力いただける医療機関には、これまでにも担当職員が直接出向き、必要な情報を提供するとともに意見交換を行っている。

 その中で、医療機関からの要望を踏まえた体制整備を進めており、現時点では市で一元管理を行うための予約体制の構築に向けた調整を進めている。

 今後、さらに取扱うワクチンの供給体制が整った場合には、より多くの医療機関に個別接種のご協力がいただけるよう飯能地区医師会を始め、市内各医療機関ときめ細やかに対応していく。

 障害者や要介護者への特別な接種体制へのお質しだが、まず市民向けの接種では65歳以上の高齢者から接種を開始し、続いて基礎疾患を有する方や高齢者施設等の従事者の方、その後、その他の方という接種スケジュールになっている。

 それぞれの方へ接種する時期については今後、国から方針が示される予定。その上で、障害者や要介護者の対応については、医療機関への入院中や介護施設での入所者はそれぞれの医療機関や入所施設で接種ができるよう、飯能地区医師会や関係部署と調整を進めている。

 一方、在宅の方へはかかりつけ医で接種が可能となるよう、ワクチンの供給状況により個別接種のご協力をいただける医療機関を増やし、往診での接種も含め対応が可能となるよう取り組んでいく。

 職員体制については、新型コロナウイルスワクチン接種対策室を1月22日に設置し、両面体制で取り組んでいる。全庁的な応援体制としては、短期間のうちに接種体制を構築する必要があることから、対策室設置前の準備段階から全庁あげて各部署の支援を受けながら進めてきた。

 なお、対策室を設置した以後も業務量の増加にあわせ、全庁的に応援する観点から、現在、新たに4名を追加した応援体制を整え、集団接種会場での円滑な運営が進められるよう、主に集団接種会場での必要な備品の調達や契約などの業務に取り組んでいる。

 また、今月中にはメインとなる接種会場で実際に接種を想定した動線の確認、接種による時間の確認など、さまざまな確認作業に取り組む予定だが、その場合においても全庁あげての応援体制で実施する。

 山間地域の巡回接種会場におけるレイアウトなどについても、早急に調整をする必要があるため、現在、庁内各部署からの支援のもと取り組んでいる。

 実際に接種が開始される場合には、接種会場での運営などにおいて、一時的に業務量が増加することも想定されるので、時々の業務量に応じた柔軟な応援体制を全庁あげて進めていく。