平沼議長に不信任決議案 共産・維新賛成少数で否決

飯能市議会3月議会初日の12日、平沼弘議長に対しての不信任決議案が議員提出された。提出者は金子敏江議員(日本共産党)、賛成者は滝沢修・山田利子・新井巧議員(同)、坂井悦子議員(日本維新の会)の4人。同議案は、賛成少数で否決された。

議会は、3月議会の一般質問について、執行部がワクチン接種をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策に専念できるよう、1月26日の各派代表者会議の場で多数決により中止とすることを決定した。

が、一般質問を行わないことを多数で決定したことは、議長の権限を著しく逸脱した行為であり、議員の質問権を多数によって奪った議長の責任は重く、議長辞職に値するとして、議長に対しての不信任決議案が議員提出された。

金子議員による提案理由の説明後、同議案への質疑を砂長恒夫(みどりの会)・中元太(公明党)・加涌弘貴議員(飯能みらい)が、採決前の反対討論を野田直人議員(みどり会)、賛成討論を山田利子議員(共産党)が行った。

同議案提出者5人以外の賛成はなく、同議案は賛成少数で否決された。平沼弘議長不信任決議案、同議案に対しての賛成討論・反対討論は次のとおり。

 ▽平沼弘議長不信任決議案

令和3年1月26日に開催された各派代表者会議において、3年3月議会での一般質問をしないことを多数で決定したことは、議長の権限を著しく逸脱した行為であり、認められるものではない。

議長は「新型コロナウイルス感染予防のために、計画されているワクチン接種の準備作業に、議会として協力できることとして、3月議会での一般質問を行わない」ことを提案し、日本共産党、日本維新の会の代表から同意が得られないとし、多数決で強行した。

議長の権限を定めた地方自治法第104条では、議長の権限を「議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理する」ことであり、議員固有の権利である「市政に対する一般質問」を行わないことは認められておらず、提案すること自体が権限を逸脱した行為である。

そもそも、各派代表者会議は、議会運営をスムーズに運営するためのものであり、法的拘束力も権限もなく、異論がある問題を多数で決定するところではない。ましてや議員の質問権を奪うことはできないのは当然である。多数決で強行したことは断じて認められない。

議員として最も大切な一般質問の権利を奪ったことは、二元代表制の一翼を担う議会の責務を放棄したものである。

よって平沼弘議長不信任決議案を提出し、その責任を問うものである。

▽平沼弘議長不信任決議案に対しての野田議員の反対討論

ただいま、日本共産党及び日本維新の会の議員から、平沼弘議長不信任決議案が提出されたが、その意図は全く理解できない。

議長は、市内で昨年11月以降、新型コロナウイルス感染者が急増しているなかで、一刻も早く市民に安心・安全な日常を届けるために、議会として何ができるかを考えた上で、最も大事なことは、市民が速やかにワクチンを接種できる環境を整えなければならず、そのためには連日深夜まで、さらに土日も返上でワクチン接種の準備に取り組む市職員の負担を軽減し、体制整備等の業務に専念してもらうことだとして、会期を極力短縮することであったと理解している。

その目的は、1分1秒でも早く、市民の平穏な日常生活を取り戻し、さらに市内経済の速やかな回復につなげようとするものである。

現に議長は、会期短縮のため、常任委員会の日程を3日から2日に短縮し、現地視察については、議員の申し出により資料、写真等を準備することを提案し、代表者会議、議会運営委員会で、全会一致で承認されており、職員の負担軽減を図ることが必要なことは、全議員が一致しているところであった。

「一般質問を行わない」ことについても、議長は会期を極力短縮する手法の一つとして提案したものにすぎず、具体的な代案を示すことなく、ただ反対をする代表者がいる中で、議論が堂々巡りを繰り返し、議会としての方向性が決まらない中、多数決をとるべきとの意見が出されたことも踏まえ、やむを得ず、多数決でよいか諮った上で「一般質問を行わない」ことの賛否を諮っている。

3月定例会は、新型コロナウイルス感染症を乗越えるための希望と光であるワクチン接種関係や緊急経済対策第3弾の補正予算をはじめ、3年度当初予算など大事な議案が上程されたが、平沼議長は会期の短縮を図りながらも、市民生活に直結する議案審議については、短縮することを提案していない。

これは、二元代表制の一翼を担う議会の役割、あるべき姿をしっかりと認識し、優先度を考え、議員が質問する機会が失われないようにしたもので、「質問権を奪った」などといういいがかりは、言語道断である。

市民のことを最優先に考え、議会として何をすべきかを熟慮した上で、今定例会の議会運営にあたる平沼議長を、我々市議会は誇りに思うべきではないか。不信任決議案の提出者と賛成者は、コロナ禍にあって市民の命と健康が最優先ではなく、いったい何を優先したくて、執拗に一般質問にこだわるのか、全く理解できない。

平沼議長は、これまで2年間、令和元年台風19号の大規模災害や新型コロナウイルス感染症といった非常時において、議長としてしっかりと的確に議会運営にあたってきた。

飯能市議会議長として一点の陰りもなく、議長としてまさに相応しい議長である。不信任の要件は、市政運営や市民生活に重大な影響を及ぼす時であり、このような議長に対し、不信任を突きつける行為は同僚の議員として、とても信じられない行為で、このような暴挙を行った5名の議員は絶対に許すことはできない。

▽平沼弘議長不信任決議案に対しての山田議員の賛成討論

3月議会を前に、1月26日に開催された各派代表者会議において、議長は新型コロナウイルス感染予防のため、計画されているワクチン接種作業に議会として協力できることとして、3月議会での一般質問を行わないことを提案し、日本共産党、維新の会の代表から同意が得られないとして、多数決で強行した。

多数決により決定したことは、議長の権限を著しく逸脱した行為であり、議会の自殺行為ともいえるもので、到底認められるものではない。

地方自治法第104条に定められている議長の権限には、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理することである。議員固有の権利である市政に対する一般質問を、中止することは認められておらず、提案すること自体が権限を逸脱した行為である。

そもそも各派代表者会議は、議会運営をスムーズに運営するためのもので、法的拘束力も権限もなく、異論がある問題を多数で決定するところではない。

ましてや、議員の質問権をはく奪することなど、できないのは当然である。

3月議会は予算議会であるし、コロナ禍の中で市民の生活が大変な時だからこそ、議員が市民の声を議会に届け、必要な提言を行い、市民の命と暮らしを守るのが議会の役目なのではないか。

先ほど来、提案者が言ったが県内63市中、一般質問を多数決でできなくしたのは飯能市議会だけである。さまざまな災害や今回のような感染症が拡大する中にあっても、最大限の配慮を行い、議会としての業務を継続するよう努力することが求められている中で、本当に恥ずかしい市議会、汚点を残す市議会となってしまう。これでいいのか。

地方自治法第104条議長の権限、逸脱した行為に対して不信任決議案は当然である。