飯能市の一般会計当初予算 「住んで良かった自治体」へ 前年対比1%増の301億円 

4月稼働に向け急ピッチのグランピングエリア整備(ノーラ名栗)

 飯能市は8日、総額を542億767万5000円とする令和3年度当初予算案を発表した。このうち、一般会計は301億円となり、前年度比1%の増。

 歳入の根幹となる市税収入については、新型コロナウイルス感染症の影響で減収を見込み、2年度当初と比べ約4億円減の118億8237万9000円とした。同予算案は、今月12日開会予定の市議会3月定例会に提案される。

 新型コロナウイルス感染症の動向により、中長期的な先行きが見通せない状況だったが、市は3年度予算編成にあたっては、「遊びに行きたい」「住んでみたい」といった選ばれる自治体へ、また、各施策の充実により「住んで良かった」「住み続けたい」と実感してもらえるまちへと飛躍するため、必要な予算組にしたという。

 歳出の構成比をみると、民生費が36・7%で全体の3割以上を占め、以下、総務費11・9%、土木費11・2%、公債費10・0%、教育費9・0%、衛生費8・3%、消防費4・4%などと続いた。

 土木費については、前年度と比較して約6億円の減となったが、これは第二区公民館対岸の入間川右岸に沿った市道小岩井元小岩井線改良事業が今年度で終了することなどが要因。

 小岩井元小岩井線改良事業は、工事延長270メートル(幅員9・8メートル)でありながら、対象区間が河川に面した急峻ながけ地という難所での作業。さらには、工事の中心が橋梁区間となるため、平成30年6月から約2年半という長期に及ぶ工事が行われていた。予定では、3月28日正午に供用開始する。

 3年度当初予算に盛り込まれた主な新規事業と予算は、ノーラ名栗のグラウンドオープン(グランピングエリアの営業開始)(821万1000円)=交流・賑わいによる経済好循環創造プロジェクト=や、さわらびの湯のさらなる民間活用等に向けた検討(500万円)=同=、全市民を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種の実施(4億4746万6000円)=子ども、若者の夢・未来創造プロジェクト=など。

 ノーラ名栗のグランピングエリアは、カフェ&ショップヤマセミやステージのあるセントラルパークに隣接して整備が進められていた宿泊施設。名称は「グランピングフィールド」。

 大人4人がゆったり宿泊できる大型テントが設営されるグランピングデッキ10棟、北欧風バーベキューが楽しめるガゼボ(東屋)、焚火台などが設けられる。予定では、4月17日にプレオープンし、同月29日から本格稼働する。

 まちづくりのための各シンボルプロジェクトの予算総額と主な新規事業は、次のとおり(ゼロ予算事業含む。予算額未表示がゼロ予算事業)。

 ①オンリーワンの森林文化都市創造プロジェクト(森林文化が暮らしの中に生き、自然環境と都市機能が調和した魅了するまちを創造するプロジェクト)23億9199万1000円

 ▽森林PV等を活用した働きかけ(川下等の都市部自治体の興味・関心を高めるため、森林PVを活用した働きかけ)▽森林の利活用を主としたゼロカーボンシティの推進(2050年までに温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指すゼロカーボンシティについて、西部地域まちづくり協議会構成市と共同宣言を行う)▽名栗中学校の利活用(名栗地区の発展のため、名栗中学校の利活用策について検討を始める)。

 ▽地域ごとにコンセプトを明確にした山間地域振興(地域の特色ある資源・文化等を活用し、観光、教育、住まいなど山間地域ごとにコンセプトを明確にした振興策及び土地利用策を地域と共に検討)168万円▽中心市街地活性化等に向けた検討(利便性向上、経済活性化、景観向上、バリアフリー化、災害対策等の観点から道路拡幅、電柱地中化などの環境整備や魅力向上策を検討)▽建築物耐震改修促進計画の推進(新たな補助制度等により木造住宅等の耐震化の取組を推進)321万8000円。

 ②交流・賑わいによる経済好循環創造プロジェクト(街なかの情報利便性、観光の活用、多様な交流を通じて、賑わいと経済好循環を創出するプロジェクト)4億2371万2000円

 ▽新たな観光ビジョンの策定(交流人口の増加を目標に、また、新しい生活様式に対応したこれからの観光の在り方を踏まえ、観光協会・事業者・市民・行政等が共有する具体的施策など、観光振興の新たなビジョンを策定する)▽第3次緊急経済対策の推進(新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、第3緊急経済対策による支援で、市内の社会経済活動を下支えする)

 ③子ども、若者の夢・未来創造プロジェクト(将来を担う子ども・若者が、夢と希望を持ち、いきいきとした生活の実現に向けたプロジェクト)122億3724万2000円

 ▽新たな教育大綱及び教育振興基本計画の推進(市と教育委員会が互いに連携し、基本理念「新たな時代を 豊かな学びで創る 飯能教育 挑戦・創造~学びの改革~」に基づき教育を推進)▽美杉台中学校及び南高麗小中学校の児童生徒数の課題に対する双方向的解決策の検討(隣接する美杉台小中学校区及び南高麗小中学校区の児童生徒数の課題について、地域の特性を生かした特色ある教育を推進するなどし、双方向的な解決策を検討)。

 ▽小規模小学校の課題解決に向けた検討(児童数が100人を下回っている飯能第二小学校、名栗小学校の児童減少に係る課題解決に向け、学校運営協議会、保護者、地域の皆様との協議を始める)▽名栗中学校生徒の原市場中学校への編入と地域間連携の推進(名栗地域の子どもたちのよりよい学習環境を整えるため、名栗中学校を廃止し、原市場中学校へ編入する。編入に当たっては、生徒の学習面・生活面・精神面のケアを十分に行い、生徒を両地区の交流の担い手として地域間連携を推進する)▽保育所給食調理業務の民間委託化の推進(子どもたちに質の高い美味しい給食を提供し続けるため、全ての保育所の給食調理業務を令和7年度までに民間委託化することとし、計画的に導入)1170万円。

 ④グローバルなシティプロモーション推進プロジェクト(本市の新たな魅力を創出し、様々な主体と連携して戦略的に魅力を発信するプロジェクト)4519万5000円

 ▽森林の利活用を主としたゼロカーボンシティに向けてのプロモーション(世界的課題である気候変動対策について、本市の森林の整備・保全を吸収源対策としても活用するとともに、森林体験サービスなどの森林に親しむ活動を推進し、気候変動対策を含め、SDGsの理念に基づく持続可能な社会の在り方について考えることの大切さを発信)3457万円。

 ⑤総合振興計画前期基本計画・第6次行政改革大綱プロジェクト(行政経営自治体へのシフトチェンジを加速化させるためのプロジェクト)1億5977万7000円

 ▽総合振興計画・後期基本計画の策定(新型コロナウイルスの感染拡大による市民生活の大きな変化や新しい生活様式を踏まえた、また、地域ごとの強みを生かした地域活性化を具体的に進めることを踏まえた後期基本計画を策定)379万1000円。