表彰状を手にした石田さんを囲む大久保市長、県川越農林振興センターの永留副所長

表彰状を手にした石田さんを囲む大久保市長、県川越農林振興センターの永留副所長

 所有する山林で良質の西川材生産に励む飯能市白子の石田安良さん(79)がこのほど、公益社団法人大日本山林会主催の第59回「全国林業経営推奨行事」で林野庁長官賞を受賞した。

 同行事は、森林の適正管理や林業の技術・経営の改善に努め、森林の多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展に寄与している森林管理者を表彰するもの。

 都内で予定されていた賞状伝達贈呈式は新型コロナウイルス感染症の影響で見合わせとなり、11日に石田さんが飯能市役所を訪ね、大久保勝市長に受賞を報告した。

 全国の林業経営者や研究者で組織される大日本山林会は明治15年に設立した日本で最も古い林業団体で、秋篠宮文仁親王殿下が総裁を務める。

 機関誌「山林」の刊行、森林・林業問題の調査研究、現地研修会の実施、保有林などの造成・管理などの活動を行い、全国林業経営推奨行事として毎年、都道府県から推薦を受けた有料林業事業体を審査し、農林水産大臣賞、林野庁長官表彰、大日本山林会長賞を決定、表彰を行っている。

 埼玉県からの推薦により、林野庁長官表彰を受賞した石田さんは、自宅近くに約11・5ヘクタールの山林を所有。平成13年に58歳で鉄道会社を退職し、本格的に所有山林の管理に着手。高品質な西川材の生産とともに、「山主の足跡は山の肥やし」をモットーに、こまめに山林を巡回し、森林の保全と多面的な活用に努めている。

 所有山林のうち約10ヘクタールが人工林で、スギを中心に植栽。枝打ち・間伐を適宜実施し、適齢期を迎えたスギを一度にまとめて伐採するのではなく、注文に応じて適した材を伐採する「非皆伐施業」「長伐期施業」により、伐採時期を延ばして太い材を育て、山林内に林道と作業道を1ヘクタールあたり200メートルと効率的に配置することで、管理や搬出のしやすい体制を整え、注文材生産に応えられる体制を整えている。

 市内でも山林所有者の森林離れが進む中、石田さんは地域の山林所有者に施業や作業道開設の共同実施を呼びかけ、地域の森林整備の推進役を担ってきた。 

 地元の林業研究グループ「西川林業クラブ」や埼玉県林業経営者協会に所属し、林業経営の改善、林業技術の向上に取り組む傍ら、平成23年から26年まで西川広域森林組合の代表理事組合長を務め、就任期間中は林業の集約化や路網整備に力を入れ、地域の森林整備推進に大きく貢献。

 海外からの農林視察も受け入れ、韓国、モンゴル、インドの政府関係者などに日本の森林の現状、自然災害、人工林の手入れなどについて説明するなど、国際的な交流にも積極的に取り組んできた。

 また、森林の価値を木材生産以外の視点から高めるため、所有山林を中心に西川林業地の森林散策をエコツアーに取り入れ、飯能市エコツーリズム推進協議会の会長として地域のエコツーリズムの定着にも貢献。

 西川材の利用促進を図るため、駿河台大学や市内団体と協力し、1本の木から何ができるかをテーマに作品とプランを募集し、オーディション形式で評価する「一本の木オーディション」の開催や、同オーディションに出品した木工や木製品を得意とする女性たちによるものづくりグループ「はんのうメイドう木うき」の設立などに力を尽くした。

 このほかにも、朗読の会「あめんぼ」を設立し、地域の伝承や出来事、偉人や歴史などを題材に紙芝居を作り、小学校や病院、老人会などで発表。作品の一つ「西川材物語」は人気が高く、森林文化を地域に継承する役割を担っている。

 受賞報告には、石田さんを推薦した埼玉県川越農林振興センターの永留伸晃副所長兼林業部長が同行し、大久保市長、青田精一産業環境部長らが迎えた。

 賞状伝達贈呈式の見合わせに伴い、受賞者には表彰状や記念品とともに秋篠宮殿下からのお言葉を記したプレートが送られており、市役所では、大久保市長が殿下のお言葉を代読し、永留副所長から石田さんに表彰状の伝達が行われた。

 大久保市長は「石田さんの受賞は市民や林業界にとって素晴らしい出来事。私も、恐れ多くも秋篠宮さまのお言葉を代読させて頂き、大変感激している。林業がピンチの時期に森林組合のトップを務められ、自ら率先して取り組んで頂いた。林業のみならず地域の発展のため欠かせない方。今後もご活躍をお願いしたい」などと述べ、受賞を称えた。

 石田さんは「今回の受賞は、県や市のご指導をはじめ、林業に携わっている多くの皆さんや森林文化都市を名乗っている市の皆様のご努力のおかげ。林業の経済的効果が薄れてもう長く経つが、林業の持つ多面性は改めて見直されている。林業地を使った様々な事業や行事は十分、市へ人を呼ぶ大きな要素になっていると思う。森林は国の大きな宝であり、飯能市でも多くの面積を占めている。私たちの代で絶やしてしまうのは避けなければならない。子どもを育てるのと同様、手を加えれば加えるほど、立派な木が育つ。そうした思いでこれからも励んでいきたい」と話している。