現橋より2・5メートル高く架橋 清川橋の架け替え事業

河川が増水すると通行が危険だとして、市がバリケードで封鎖中の清川橋。落合地区側から市街地方面を見る

 飯能市加治地区の成木川に架かる清川(きよかわ)橋が、河川が渇水期に入る11月以降、撤去されることとなった。撤去後、令和3年度から現在地で新橋への架け替え工事が始まる。

 現在の清川橋は、車両のすれ違いが困難な4・5メートルという狭小幅員。新橋は歩道含めて全幅10・5メートルとなり、これにより歩行者の安全性が高まり、生活道に架かる橋梁としての利便性も向上すると期待されている。

 清川橋は、昭和34年9月に竣工した鉄筋コンクリート橋。成木川左岸の前ケ貫・征矢町と右岸の落合地区を結ぶ。延長77メートルで幅員4・5メートル。

 老朽化が進んでいる清川橋だが、架橋後、安全性の問題から欄干の嵩上げなどが行われた以外、大規模な修繕は行われていない。修繕か、架け替えか、検討を重ねた市は昨年度、架け替え方針へと舵を切った。

 そうした中、昨年10月に東日本を襲った台風19号の記録的豪雨で清川橋が被災。増水した流れで、橋脚基礎部分の河床が洗掘。そのため、橋脚が沈下し、橋桁も一部損傷してしまった。

 架け替え方針が立てられていることから、市は台風で損傷した箇所についての復旧は行わないことと決断。生活利便を考慮し、河川水量の減水期についてのみ、歩行者の通行を認め、以外の時期については完全通行止めとした。

 被災した清川橋の撤去時期、新橋建設に向けての作業と規模等は、先の9月市議会の新井重治議員の一般質問で明らかになった。

 ▽新井議員=清川橋の架け替えについては昨年度に事業化され、調査及び予備設計が完了したとのこと。事業を進める中で、昨年10月の台風19号による大雨で河床が洗掘され、一部橋脚が沈下したことにより、今、通行規制がされている。地元を始め利用者からは早期の架け替えに期待する声が大きくなっている。

 架け替え計画では令和2年度に現在の橋を撤去し、3年度から新たな橋梁に着手する予定となっているが、用地補償、工事期間、迂回路や前後の取り付けについて、コロナ禍の中での説明会は難しいと思うが、地元への周知はいつ頃行うのか。

 ▽的板幹雄建設部参事=昨年予備設計を実施し、今年度は詳細設計と旧橋撤去を予定している。先月(8月)は用地測量を行い、地権者に境界立ち会いをお願いした。

 今後の予定だが、渇水期となる11月以降から旧橋撤去に入る予定で設計を進めている。撤去工事の着手には、地権者や地域の皆様のご理解、ご協力が欠かせないので、丁寧な説明を心がけていきたい。

 全体的なスケジュールだが、現在詳細設計を進めており、今後詳細設計が完了すると今後のスケジュールについて、お示しできるものと考える。

 地元への周知だが、境界立ち会いの際、自治会長さんや地権者の皆さんに説明会の開催はコロナの状況を見極めて対応したい旨を説明した。今後もコロナの状況を踏まえ、自治会長さんや関係者の皆様にもご相談しながら開催を検討したい。もし、開催が難しいようであれば、書面での説明も含め、情報提供に努めていきたい。

 ▽新井議員=現地の地形をみると、河川の両側が高く、下ったところに現在の清川橋が架かっている。新しい橋の高さはどのようになるのか。幅員構成等は。

 ▽的板建設部参事=新たな清川橋の幅員は、昨年実施した予備設計で全幅10・5メートルと決定している。うちわけは車道幅員6メートル、下流側に片側歩道を設置する計画。歩道の幅員は2・5メートル。その他路肩などを含め10・5メートルとなっている。橋の高さだが、現在の清川橋より平均で2・5メートル高くなる計画。

 前後の取り付けについては、現在進めている詳細設計の中で検討している。道路縦断や隣接する土地利用に極力影響がないよう検討していく(以上、質問と市答弁)。

 計画によると、被災からの早期復旧が重要と捉え、新橋の構造は経済性を重視しながらも、施工性に優れ、工期の短縮が可能な「鋼2径間連続箱桁橋」となる。

 これは鋼材を箱型断面に組み立てて桁とする工法で、橋脚は橋中央に1本立つという。