来年3月末で廃校が決まった名栗中学校

来年3月末で廃校が決まった名栗中学校

 飯能市議会9月定例会(平沼弘議長)は2日、市長及び副市長の給料減額議案、市立名栗中学校を今年度で廃校する市立学校設置条例の一部改正議案、令和2年度一般会計補正予算など議案25件を可決、9月4日から29日間にわたった会期を終えた。

 今議会の注目案件、市立学校設置条例の一部改正は、旧名栗村で唯一の中学校だった名栗中学校を廃校する議案。

 名栗中の生徒数は、令和4年に10人を下回り、5年には5人となり、うち女子生徒は全校で1人だけとなることから、望ましい教育環境の確保が困難だとして、今年度で閉校する内容。

 来年4月から名栗中の生徒たちは、地区境を越えて原市場中へ通う。閉校及び原市場中編入に向け、準備を進めるための予算として、市は補正予算に928万4000円を計上した。

 この市立学校設置条例の一部改正議案の可否について採決する前、同案件に対して賛成か、反対かを議員自らが議場で意思表示する討論では、新井巧議員(共産党)が反対、野田直人議員(みどりの会)が賛成の立場で意見を述べた。

 飯能市立学校設置条例の一部を改正する条例に対しての賛成、反対討論は次のとおり。

 【反対討論】

 ▽新井議員=名栗中学校は、1947年に開校した73年の歴史のある学校。2005年に飯能市と合併して飯能市立名栗中学校となった旧名栗村唯一の中学校である。生徒数は、ピーク時の1962年には270人を数えている。

 飯能市との合併以降、人口減少と少子化が加速し、現在の生徒数は18人となっている。市は2年後には、生徒数が10人を下回る見込みから、今年度で廃止し、令和3年4月に原市場中学校に編入するとしている。3点の問題点を指摘する。

 第一は唐突な提案ということである。7月末に開かれた住民説明会では、あまりにも唐突であること、多くの不満の声が出された。

 「生徒数が現在のように、減少することは、何年も前から分かっていた。それが、突如として今年度末で廃校とすることが7月11日の文化新聞に出て、地元住民が知るということがあっていいのか」「廃校方針が議会に報告されてから、住民に説明というのはおかしい」「これまで、小中一貫校や中学校での特認校の検討もできたのではないか」「今の生徒が卒業するまで延期できないか」「子どもたちの声も聞いてほしい」「文科省は統合に当たっては、住民の声を十分聞くよう通知している。丁寧な説明が必要ではないか」「住民も子どもたちも市が決めてことだから、しようがないという思考になってしまうことが最も危険だ」などの批判の声が相次いだ。

 住民、生徒が主人公の立場から住民の理解と納得を得ながら進めるという、進め方をしてこなかったのは、認められない重大な問題である。

 2点目は、計画的な行政を進めるというルールを無視するやり方。市の総合振興計画実施計画にもまったく位置付けられていないことである。

 少なくとも実施計画に位置付け、丁寧な議論を尽くすべきではないか。市は、吾野・東吾野地域の小学校統合について、住民とともに丁寧に進めてきたやり方を評価していたはずである。今回のような問答無用な統廃合がまかり通れば、他の小規模校のあり方、進め方にも重大な悪影響を及ぼす。

 3点目は地域のあり方、学校の位置付けなどの議論がまったくされていないことである。

 飯能市では人口減少、少子高齢化が急速に進んでいる。特に山間地域は顕著。しかし、南高麗地域における「農のある暮らし」により地域の変化、奥武蔵小中一貫校の取り組みなど明るい変化も起こりつつある。

 名栗においてもこの間の取り組みに、期待の声もあった。しかし、そうした声を聞こうとしない姿勢は問題だ。地域から学校が無くなるということは、生徒、保護者の問題だけではない。地域住民の教育、文化、コミュニティ、地域経済、他の公共施設のあり方にも重大な影響をもたらす。

 中学校が無くなることが、一層の人口減少をもたらす要因にもなりかねない。以上を申し上げて反対討論とする。

 【賛成討論】

 ▽野田議員=新井議員から三つの反対の立場での討論があった。一つ目は唐突である、二つ目はルールを無視、また山間地域のあり方についても討論があった。

 唐突の提案であったとの討論だが、教育委員会では以前からこのことについては、努力していたと聞いている。ルール無視と言っているが、こんなにも早く、名栗地区の中学生が減少するとは誰しも予想していなかったのではないか。

 山間地域のあり方についても、教育委員会、市長をはじめとして名栗のことについて、どのようにしていけばいいのかと努力してきたことを私も承知している。

 さて、名栗中学校は新井議員からも話があった通り、飯能市制が昭和29年4月1日に施行された、その7年前の学校制度改革に伴い、当時の名栗中央小学校に併設される形で開校した。

 当時の生徒数は188人。その5年後の27年、現在の場所に校舎を移転した。生徒数が最も多かったのは、37年の270人であった。61年に校舎を新築し、現在に至っている。この時の生徒数は87人。

 このように歴史のある名栗中学校では、これまで地域の協力を得ながら豊かな自然と小規模校の良さを生かした教育が行われてきた。しかし、ここ数年の生徒数の減少は著しく、本年度は全校で18人、令和4年度は10人を下回る予想、5年度については5人を下回る予想である。

 生徒数の減少は、教育活動にさまざまな影響を与えている。特に部活動においては顕著だ。名栗中学校にはかつて、平成5年度まで野球部があり、28年度までは女子バスケット部があった。現在も存続する卓球部は、昭和63年から平成8年まで、女子は団体で9年連続県優勝、7年に全国大会5位、8年は関東大会3位など、大変素晴らしい成績を残している。

 しかし、部員を必要する部活は廃部となり、現在は男子ソフトテニス部、卓球部のみとなっている。中学校の3年間が社会に巣立つ前に、予測困難な社会を生き抜く力を育む大切な時期であることを考えると、一定規模の集団の中で学ぶことは重要である。

 教育委員会と市長部局はこのような現状を踏まえ、昨年度から庁内で議論をするとともに、保護者や地域との意見交換も行ってきた。また、4回の地域説明会では、新井議員がおっしゃっていたようなさまざまな意見も当初はあったようだが、地元の皆様から、「現状では、子どもたちの教育に限界がある」「子どもたちの将来を考え、スピーディに取り組んで頂いた」等の発言があったと聞いている。

 私のところにも、私の所属している8区の自治会、多くの人たちからその出席をされた、今井教育長、平野学校教育部長、新井企画部長ほか、課長、多くの職員から大変分かりやすい説明があり、多くの人たちが理解を示しているとの電話もあった。

 名栗中学校の現状は、学校運営の限界を超えるもので、名栗中学校を廃止し、生徒を原市場中学校へ編入することは適切な判断であると思う。また、市及び教育委員会はこのことについて、保護者や自治会長らと意見交換するとともに、4回の説明会において丁寧な説明をしており、地域の皆様から大変な理解が得られている。

 以上、論点を申し上げ、賛成討論とする。