計画書を手にする山田議長(右)と吉本議運委員長

計画書を手にする山田議長(右)と吉本議運委員長

 日高市議会(山田一繁議長)は、大規模災害や台風、新型感染症などの非常事態が発生した場合でも議会の機能を停止することなく運営するため、必要となる組織体制や議員の行動基準を定めた「日高市議会BCP (業務継続計画)」を9月定例会会期中に策定した。

 これに先立ち、6月には「新型コロナウイルス感染症に関する議会対応申し合わせ事項」も定めており、今後はこれらの基準に基づいて議会運営を進め、検証や見直しを図っていくとしている。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、同市議会は3月定例会、6月定例会では一般質問を中止し、本会議は傍聴自粛を求め、委員会の傍聴を不可とするなどの感染症対策を実施。

 また、緊急事態宣言の間、山田議長は、昨年初当選した和田貴弘(絆の会)、松尾万葉香(水と緑の会)、金子博(志正会)、加藤大輔(新政会)、三木伸也(公明党)=議席順=の5議員から「この緊急時に新人議員として何から取り組んだら良いか」との相談を受けたという。

 「このような時こそ議員としての自己研鑽に努め、政策を磨く時。また、議会運営の見直しやシステムを構築する時ではないか」と5議員にアドバイスした山田議長は、大澤博行副議長、吉本新司議会運営委員長、森崎成喜同副委員長との四役会で今後の対応について検討を重ね、感染症対策を図ると共に安定的な議会運営を確保し、市民の生命と健康を守るための市議会の対応を早急にまとめる必要性を確認。

 全員協議会での了承を経て各会派が原案を持ち寄り、吉本議会運営委員長がまとめ役となり、新型コロナ感染状況に合わせた市議会の対応を段階別に示した「新型コロナウイルス感染症に関する議会対応申し合わせ事項」を6月に定めた。

 同申し合わせでは、「首都圏内に感染者が複数出た」場合をレベル1として▽消毒液の設置▽席は距離をとる▽議場のバーテーション設置▽1時間ごとに換気・議場のドア開放▽議会前の健康確認などを実施。

 「隣接市町に感染者が複数出た」「日高市に対策本部が設置された」場合をレベル2とし、レベル1の対応に加え▽本会議は関連部署の部長職のみ出席▽質疑は内容を最低限に絞り再質疑はしない▽一般質問は時間を短縮し1人30分間とする▽傍聴席は間隔を広げるため2席空けて座るようにする▽日高市災害等対策支援本部の設置を検討する。

 レベル3の「緊急事態宣言の対象になった」場合には、これに加え、本会議は傍聴自粛、委員会や全員協議会は傍聴不可とする、とした。

 さらにその後、市内で地震や台風などの災害、新型インフルエンザ等の感染症、武力攻撃等の事件、大規模爆発等の事故などが発生した場合に議会の機能を維持するため、議会の体制や議員の行動基準等を定めるBCP(業務継続計画)について協議が進められ、全員協議会を経て9月7日に「日高市議会BCP」を策定した。

 BCPの対象となるのは、市災害対策本部等の各種対策本部が設置される災害等で、市対策本部が設置された際、市議会は議長を支援本部長とする災害対策支援本部を速やかに設置して対策本部をサポートする。

 計画では▽非常時の議会・議員の役割▽非常時の初動体制▽災害等対策支援本部の設置▽非常時の議会運営──などについての具体的方針を示した。

 非常時の議会の役割については「非常時においても、定足数に足る会議を開催する中で、議事・議決機関として、その機能を維持する役割を担う。そのために様々な災害等に対応する体制を整えなければならない。加えて復旧、復興等において住民代表機関として大きな責務と役割を担う」。

 議員の役割については「非常時にあっては、特にその初期を中心に議会の構成員としての役割とは別に、地域の代表として被災した市民の救援や被害の復旧のために活動する役割が求められることも事実。議員は議会機能を維持するという根幹的な役割を十分に認識する中で、地域活動などに従事する役割を担う」。

 議員の非常時の初動体制として、会議中以外に災害等が発生した場合は「速やかに自身と家族の安全確保を行い、議会事務局又は災害等対策支援本部からの安否確認を含めた連絡や指示に速やかに対応できるよう、連絡態勢を常時確保しておく。

 なお、議員が遠方にいる際は、可能な限り、速やかに市内に戻るよう努める」「災害対策支援本部からの指示があるまでは、地域の代表として市民の安全確保や応急対応等の地域における支援活動に積極的に従事するとともに、被災等した市民からの相談に対応する。また、これらの地域活動を通して、地域の災害等の情報を収集する」としている。

 また、同計画策定に伴い、「日高市議会災害対策支援本部設置要領」の一部改正も行った。

 計画策定のまとめ役を担った吉本議運委員長は「昨年の台風19号では、木橋3橋が流出するなど市内の被害は甚大だった。また今年に入り新型コロナウイルス感染症が拡大し、今までの経験では予想し得ないことが次々に発生している。緊急事態に対応するための議会運営の基準作りが急務であり、各会派が持ち寄った原案を検討し、決定した。その過程で新人議員の和田・松尾・金子・加藤・三木議員がリモート会議等を実施し、頑張ってくれた」。

 山田議長は「新人議員とベテラン議員の融合と、政党・党派を越え、市議会として短期間で制定を行うことができた。今後様々な緊急事態が発生した際においても二元代表制の趣旨に則り、議事・議決機関、住民代表機関としての議会が、迅速な意思決定と多様な市民ニーズの反映に資するという議会の機能を維持するために、必要となる組織体制や議員の行動基準を定めることが出来た」と話している。