マンジュシャゲの花芽刈り取り コロナ影響、安全確保困難

花芽の刈り取りが行われた曼珠沙華公園の群生地

 日高市の巾着田曼珠沙華公園で、マンジュシャゲの開花前の刈り取りが行われている。

 例年なら10月にかけて約3・4ヘクタールの群生地に約500万本の花が咲き、開花期間中に開かれる「曼珠沙華まつり」には全国から20万人以上の人々が訪れるが、今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、まつりを中止し、花が咲く前に花芽を刈り取ることとしていた。

 市は、「まつりを中止しても花が咲けば人が集まり、狭い遠路は密集・密接状況となる。適切な感染防止策がとれず、来場者や地元住民、関係者の安心・安全の確保が非常に困難」として、花芽の刈り取りは「苦渋の決断」として理解を求める。

 今年は例年に比べ花芽の発芽が遅く、刈り取り作業は今月17日から開始。花芽の成長は群生地内のエリアによっても異なることから、複数回にわたって刈り取りを行っている。

 市はホームページ等を通じて行楽客等への周知を図っており、県道川越日高線沿いの巾着田入口には「今年は曼珠沙華観賞できません」と記した看板を掲示している。

 曼珠沙華公園は昨年10月の台風19号による高麗川の増水で群生地の一部に土砂が堆積。

 今年6月末まで土砂の撤去や散策路などの復旧工事が行われ、7月には土砂の中から掘り出された球根約1000個を植え直した。

 市担当者は「植え直した球根からも発芽が確認されており、花芽を刈り取っても、来年の発芽への影響はないと考える。来年は今年の分まで綺麗に咲かせ、皆様に楽しんで頂きたい」としている。