日高市がガイドブック配布 認知症の人も安心して暮らせるまち

日高市が作成した認知症ガイドブック

 日高市は、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指し、早期の発見・受診・診断・治療により、認知症の症状の進行を遅らせたり軽減したりすることができるとし、異変を感じたらできるだけ早くかかりつけ医や専門医療機関を受診することが大切とするとともに、周囲の人が認知症の人と接する時の心構えとして、「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」などを挙げ、認知症への理解を求めている。

 今年1月に作成した「認知症ガイドブック」を公共施設、医療機関、市ホームページを通じて配布し、認知症の可能性がある場合、認知症について知りたい時への活用を呼びかけている。

 ガイドブックには、「認知症によるもの忘れ」と「老化によるもの忘れ」の違い、認知症チェックシート、認知症対応医療機関リスト、認知症疾患医療センター、認知症ケアパス一覧表、地域包括支援センター、認知症の人と接するときの心構えなどを掲載。

 「認知症によるもの忘れ」と「老化によるもの忘れ」の違いについては、認知症によるもの忘れの特徴は、▽体験の全てを忘れる(食事をしたこと自体を忘れる、ヒントを出しても思い出せない)▽もの忘れの自覚がない▽場所、人がわからなくなる(自宅の場所や家族の顔がわからなくなる)▽感情や意欲に変化が見られる(頑固さや怒りっぽさが目立つ)。

 一方、老化によるもの忘れの特徴は、▽体験の一部を忘れる(食事のメニューを忘れる、ヒントを出すと思い出す)▽もの忘れの自覚がある▽場所、人は覚えている(自宅の場所や家族の顔は覚えている)▽感情や意欲に大きな変化はない──としている。

 認知症の可能性を自身や家族がチェックすることのできる「認知症チェックシート」では、次の22項目を用意。

 ①何度も同じことを言ったり聞いたりするようになった②5分前に聞いた話の内容を思い出せない③使い慣れている道具の使い方がわからない④物のしまい忘れ・置き忘れが目立つようになった⑤財布・預金通帳などを他人に盗まれたと言うようになった⑥待ち合わせの時間や場所がわからず、約束事を間違えるようになった⑦よく知っている人の名前を忘れるようになった⑧物の名前が出にくく、「あれ」「これ」と言うようになった⑨簡単な計算の間違いが多くなった⑩蛇口・ガス栓の閉め忘れ、戸締りを忘れることが多くなってきた⑪料理・片づけができなくなってきた⑫雑誌や新聞、テレビ番組の内容が理解できなくなった⑬薬の飲み忘れが多くなった⑭今日の日付・時間がわからない⑮自分の生年月日がわからない⑯慣れているところでも道に迷うことがある⑰イライラするなど、ささいなことでも怒りっぽくなった⑱自分の失敗を人のせいにしたり、以前よりも疑い深くなったりした⑲趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった⑳身だしなみに気を使わなくなった21親しい人との付き合いが減り、一人で外出することが減った22気分が落ち込みやすくなった。

 5項目以上該当した場合、また、②⑦⑮に一つでも該当した場合には医師への相談を促し、4項目以下の場合は6か月~1年後にもう一度チェックをするよう呼びかけている。

 身近な認知症対応医療機関は、日高市が▽ひだかむさしのもりクリニック(上鹿山)▽まえだクリニック(武蔵台)▽武蔵台病院(久保)、飯能市が▽飯能市東吾野医療介護センター(虎秀)▽飯能老年病センター(下加治)▽間柴医院(緑町)▽南飯能病院(矢颪)▽武蔵の森病院(飯能)。

 また、県の指定を受けた認知症に関する専門の医療機関となる認知症疾患医療センターとして、あさひ病院(狭山市水野)、丸木記念福祉メディカルセンター(毛呂山町毛呂本郷)を紹介。

 認知症の症状に合わせてどのような医療・介護サービスや福祉サービスを受けられるのかをまとめた「認知症ケアパス一覧表」では、▽認知症を有するが日常生活は自立▽誰かの見守りがあれば日常生活は自立▽日常生活に手助け・介護が必要▽常に介護が必要──といった症状別に必要な支援の内容や受けられるサービスを示した。

 認知症の人やその家族をはじめ、近所の人々などが、認知症に関する相談を行うことのできる窓口として、地域の総合相談窓口となっている地域包括支援センターを紹介。

 高麗小・武蔵台小学校区を管轄する高麗地域包括支援センター(高齢者サポートセンター武蔵台内、電話982・0111)、高麗川小・高根小学校区を管轄する高麗川地域包括支援センター(総合福祉センター高麗の郷内、電話984・1362)、高萩小・高萩北小学校区を管轄する高萩地域包括支援センター(日高団地入口交差点横、電話984・3001)でそれぞれ相談を受け付けている。

 周囲の人が認知症の人と接する時の心構えとして、「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」の3つを掲げ、具体的な対応として①まずは見守る②余裕をもって対応する③声をかけるときは一人で④後ろから声をかけない⑤相手に目線を合わせてやさしい口調で⑥おだやかに、はっきりとした滑舌で⑦相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する──を挙げている。

 認知症ガイドブックに関する問い合わせは、日高市長寿いきがい課989・2111へ。