コロナ関連補正予算、全員一致で可決 日高臨時議会

臨時議会を招集した谷ケ﨑市長(後ろは山田議長)

 日高市議会(山田一繁議長)の臨時会が15日開かれ、谷ケ﨑市長から提出された新型コロナウイルス感染症に関する令和2年度一般会計補正予算が全員一致で可決された。

 同予算には、30%分のプレミアムを付けた地域活性化商品券「ひだかニコニコ応援券」の発行や、学校通信ネットワーク整備事業「GIGAスクール構想」を前倒し、今年度中に全児童生徒分のタブレット型端末を整備するなど、国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して実施する事業が盛り込まれた。

 地域活性化商品券事業は、新型コロナにより売り上げが減少するなどの影響を受けている市内事業者の事業継続や雇用維持、地域活性化を目的に、プレミアム付商品券「ひだかニコニコ応援券」を発行するもの。事業費は計2億1275万円。

 事業概要は、30%分のプレミアムを付けた商品券1セット1万3000円分を1万円で販売、計1万5000セットを発行する。販売対象者は市内に在住、在勤、在学の人で、市内商工業者が取り扱う商品やサービスに活用できる。

 申し込みは1人つき2セットまで、申し込み多数の場合は抽選。使用期間は9月中旬から来年1月末としている。

 学校通信ネットワーク整備事業については、今年3月の補正予算で事業化された当初の計画では今年度中に小中学校に校内LANを整備し、令和5年度までに順次、児童生徒のタブレット端末整備を行う予定だったが、今回の補正により、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、事業を前倒しして今年度中に児童生徒1人1台のタブレット端末を整備することとなった。

 児童生徒が活用するタブレット型端末は計4506台を購入予定で、端末本体価格は1台あたり4万5000円。端末には、小学校5教科・中学校9教科の問題が搭載されたドリル教材ソフト、児童生徒の学習状況と解答をリアルタイムに把握・共有し学習環境を構築することのできる授業支援ソフト、また、中学生の端末には高校入試の過去問題を基礎ドリルとしてデータ化したドリル高校入試ソフトなどが整備される。

 事業費は計4億240万5000円。端末は来年1月以降に児童生徒への配布を予定している。

 臨時会の開会に伴い谷ケ﨑市長は今回の補正予算について、「先日、国において成立した補正予算に伴う新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを財源とする各種事業費を計上した。緊急かつ重要案件であり、慎重な審議の上、賛同頂くようお願いしたい」と挨拶。

 その後、金子昭副市長による提案説明が行われ、議案質疑では、齋藤忠芳議員(自然エネルギーの会)、佐藤真議員(共産党)、田中まどか議員(みんなの会)が質疑を行い、討論はなく、全員一致で可決した。

 議案質疑では、商品券事業について「発行は1万5000セットで申し込みは1人2セットまでとのことだが、仮に皆が2セット買った場合7500人しか買えない。世帯数2万4500で割ったとしても3割の世帯しか買えないことになるが、1万5000セットにした根拠は」との質疑があり、相磯剛啓市民生活部長は「既に実施または実施を予定している近隣市の状況を鑑みて1万5000セットとした。県西部地域まちづくり協議会の構成市の状況は、所沢市が13万セット、狭山市が2万セット、入間市が3万セット、飯能市はインターネットを利用したクラウドファンディングによる寄付形式で実施しており2000セットとなっている」と述べた。

 学校通信ネットワーク整備事業についての質疑は、小中学校に既に整備されているパソコンやタブレットの取り扱い、家庭学習環境整備事業として行っているWi-Fi(無線LAN)環境のない家庭への家庭用モバイルルーターやタブレットの貸し出しとの関係、オンライン授業への活用をどのようにしていくのか、などが挙がった。

 答弁に立った秋馬信之教育部参事は「中学校のコンピュータルームの端末240台は再リースとして契約しており今年度3月で契約を終了。貸し出し用タブレットは令和3年度中に240台のリースが終了し、その間は教師用として活用する。小学校は246台が令和6年度までリース期間があるが、プログラミング教育で使用するなど有効に活用したい」。

 「今回整備を予定している児童生徒1人1台端末は、ルーターがあればWi-Fi環境のない家庭でも使用することができ、家庭学習に活用することができる」「授業を十分に受けることができないことによって学習に著しい遅れが生じることが無いよう、双方向にオンライン授業が可能となるよう研究を始めたところ。授業では個人の考えがタブレット端末を介して瞬時に全体で共有でき、一人ひとりの教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習も可能になる。オンライン授業を行う教職員のスキルも重要となるため、教職員対象の研修の充実に努める」などと述べた。

 補正予算ではこのほか、公共交通事業者に対し事業継続に向けた支援金を支給する地域公共交通臨時支援事業、自主防災組織に対し非接触型体温計・備蓄用マスクの配布する自主防災組織等活動支援事業、乳幼児の健診時等における検温体制を充実するためサーモグラフィーカメラ(2台)の購入、市立図書館の本に付着するウイルスを殺菌するため消毒器(2台)の購入。

 小学校臨時休業期間の開室対応や登園自粛要請に係る保育料の日割計算実施により減免等を行った学童保育室、保育所等に対する補償等の実施、夏休み期間等を短縮した期間に必要な学習支援員、ふれあい相談員等の勤務日数の追加、学校給食の調理補助員や給食運搬員、登下校時のための交通指導員の勤務日数の追加、保護者の負担軽減のため夏休み期間を短縮する8月中の学校給食費を無償とするための費用──などが計上された。