前を向き、旅立ちの時 日高市の小学校で卒業式

門出式で教職員や保護者に見送られる高麗川小の卒業生

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、春休み開始の26日まで臨時休校措置が取られた日高市立小学校6校で24日、卒業式が挙行された。13日に卒業式を行った中学校同様、感染拡大防止対策として来賓、保護者、在校生の出席を制限し、マスクを着用した卒業生と教職員のみで時間を短縮して実施。保護者は式の終了時間に合わせて学校を訪れ、校庭で卒業生と記念撮影などを行った。

 市内小学校で最も多い160人が卒業を迎えた高麗川小学校(稲村浩之校長)。臨時休校措置が決まった2月28日の時点では、卒業式の見通しが立っておらず、多くの児童が不安の色を浮かべていたが、あれから3週間以上が過ぎ、卒業式を迎えた児童たちの表情は当時と比べると幾分晴れやかだった。

 「本来なら、令和という新しい年度の第1回の卒業生として、皆さんは多くの人の祝福を受け巣立ちゆく予定だった。しかし、現実は大きく違い、前例のない卒業式となった。皆さんが生きていく時代は、人類が過去に経験したことのない、予測不能の社会になるかもしれない」。

 卒業生と教職員のみが出席した卒業式では、稲村校長が卒業生一人ひとりへ卒業証書を手渡した後、式辞を述べた。「夢に向かい努力し続ける、負けない人になって欲しい。夢を持つことは、人間に与えられた特権。そして、夢を叶える上で大切なことは、世界に一人しかいない、かけがえのない自分を信じ続けること」とエールを送り「保護者の方々に式に出席してもらい、皆さんの立派な姿を見て欲しかった」「愛情を持って支えてくれた家族に感謝の言葉を伝えて下さい」などと語った。

 このほか、式では飛沫を避けるため校歌斉唱も控え、代わりに「校歌清聴」として、CDで校歌を流すとともに卒業生の6年間の歩みを振り返るスライド上映が行われた。

 式終了後は、保護者の待つ校庭に移動し、教職員が花のアーチを作り、シャボン玉を飛ばすなどして門出式が行われたほか、見頃を迎えたサクラの周辺に学級ごとに集まり、クラスメイトや保護者との記念撮影などが行われた。

 保護者の構えるスマートフォンに笑顔を向けた田代かほりさん、新堀杏さんは「休校中、みんなと会いたいとずっと思っていたので、卒業式ができて良かった。担任の先生に名前を呼ばれ、校長先生に卒業証書をもらった時、卒業したんだと実感した」「中学に行ってからも勉強についていけるように、休みの間、先生から出された課題に取り組んできた。先のことが分からず不安だけれど、無事に入学式ができるように願っている」。

 休校期間中、毎日の計画を立て、実行するように努力してきたという寺島夢生(ゆうせい)くんは「学校でみんなと過ごす時間が短くなってしまったのは残念だけれど、もう一度きちんと会うことができて嬉しかった。中学校に行っても勉強を頑張りたい」と元気に答えた。

 集まった保護者の間からは、あちこちで「卒業おめでとう」との声が送られ、PTA役員を務めた谷口めぐみさん、田中好栄さんは「このような状況になってしまったが、休校中も先生たちがメール等で子どもたちへメッセージを送ってくれるなど、最後まで愛情を持って取り組んでくれた。感謝している」「最初はどうなることかと思ったが、無事に卒業式を行うことができて良かった。子どもの生活のリズムが乱れてしまったので、中学に向けて整えたい」などと話した。