地域住民らに見送られ「らくらく1号」が出発

地域住民らに見送られ「らくらく1号」が出発

 吾野・東吾野地域住民の新たなお出掛けの足として、公共交通空白地有償運送「奥武蔵らくらく交通」(事務所:長沢、森田美明理事長)の運行が開始され、9日に吾野地区行政センター(吾野)で出発式が行われた。地域活性化等を目的に平成26年度に結成されたNPO法人奥武蔵グリーンリゾートが運行する。前日までに利用者からの予約を受け付け、運転ボランティア所有の自家用車を使用し、吾野・東吾野両地区内等の移動を初乗り500円(2キロ以内)から、3200円(25キロ超~32キロ、タクシー料金の約35%)で走行し、公共交通の穴を埋める。登録番号「埼玉県交第1号」となる事業。

 吾野・東吾野地区は、地域の中心を流れる、ほぼ高麗川沿いに西武池袋・秩父線が通り、東吾野、吾野、西吾野、正丸の4駅が設置されている。しかし、隣駅との駅間が2・5キロから9キロ離れており、昼間時は1時間に2本程度。また、多くの集落が、高麗川に合流する支流沿いを遡った山間に点在し、最寄り駅までの距離が遠く、車なしでは、生活が成り立たない住民が多い。

 さらに、少子高齢化の進行により、市内でも両地区は人口減少・高齢化のスピードが速く、一人暮らしの高齢化世帯が増加、運転への不安などから免許返納者や、免許返納を勧められる高齢者も少なくなく、日常の買い物や通院のための足の確保は、地域住民にとって切実な課題だった。

 しかし、バスなどの公共交通の新たな進出は採算性などから期待できず、タクシーの事業所は地域から遠く、送迎料金なども含めた負担は重く気軽に利用することは難しかった。地域住民は、およそ10年前から、「足」の確保策を検討していた。

 平成24年11月、社会福祉協議会貸与の車両を活用し、吾野地区の住民組織「たすけあい あがの」の移動交通部会が、「らくだ号」の運行を始め、買い物ツアーやサロンへの移動サービスをスタートさせた。

 しかし、福祉目的でドライバーは無償のボランティアであったことから、利便性に難がありドライバーの負担も大きく、より本格的な交通手段の創設が期待されていた。

 住民主体の有償運送実現には、運行主体としてNPO法人の設立が必要とされたことから、26年に地域住民有志が集まり、地域活性化等を目的に、実施事業に運転ボランティア支援も加えたグリーンリゾートを発足させた。これまで、グリーンリゾートはまちづくり推進、環境保全、保健、医療または福祉の増進を目的に、ハイキングコース整備、レクリエーションイベントの支援、森林整備、河川保全や、特産物の生産販売などを実施しながら、有償運送実現に向けた準備も進めていた。

 グリーンリゾートの計画を、飯能市地域公共交通対策協議会(交対協、上良二会長)が10月に承認。承認を受け、先月県に登録申請。第一号の「自家用有償旅客運送者登録証」が交付され、「奥武蔵らくらく交通」の運行が可能になった。

 運送区域は、吾野・東吾野両地区内の移動と、両区域内から市内他地区への移動に限り、両地区から市外への移動、市外及び市内他地区から両地区への移動には利用できない。

 利用対象者は、グリーンリゾートに事前登録済みの両地域住民ばかりでなく、地域の活性化などを目的に観光客などにも門戸を開いた。

 観光客の利用は、メッツァ観光客やハイキング客などのほか、里帰りや墓参りで駅等からの活用を想定。両地区内の移動に限り、グリーンリゾートが発行するチラシなどに記載されるドライバーの電話番号を知り、事前にドライバーに直接電話を掛け予約することが必要。

 迎車回送は無料。待機料金は30分まで無料、30分~60分は250円で、60分以上の待機はしない。

 ドライバーは、利用料金の内の一定額をグリーンリゾートから報酬額として受け取る。

 運行時間は午前8時~午後6時。

 当初は、軽自動車2台を含む6台でスタートするが、グリーンリゾートでは、順次参加ドライバーを増やし、20台くらいまで規模を拡大していく方針。

 出発式には、大久保勝飯能市長、野田直人市議会議長、市議らを招き、地域住民ら約80人が参加。

 最初の利用者が2台に分乗、地域住民に見送られて行政センターを出発した。

 グリーリゾートの事務局長を務める平沼弘市議は「これから、5年10年を見据えて育てていかなければならない事業。そのためには住民の理解を得て、運転手さんを増やしていき、地域に根付いていく必要がある」と、目標を語った。