飯能の森林作業道を疾走 21か国から106人の選手

地元住民らの声援を背に旧北川小校庭をスタート

 飯能市北川地区などの山々に張り巡らされている森林作業用の道を利用したトレイルランニング(トレラン)専用コースで11日、国際色豊かな大会「奥武蔵スピードトレイルチャンピオンシップ大会」が初開催された。主催は、地域起こしの一環で同コースの整備を推進した吾野・東吾野地区で活動するNPO法人「奥武蔵グリーンリゾート」(森田美明理事長)。

 トレラン専用コースがあるのは、国道299号と尾根を挟んで反対側の市道北川線、林道北川正丸線に囲まれた北川と南川の森林内。

 林業経営の低迷で使用されないままになっている作業道を使い、人が集まるトレランの大会を催し、地域に活力を与えようと、地域の活性化を命題に活動する奥武蔵グリーンリゾートがコース整備した。

 コースは、木材を搬出するための作業道をそのまま利用しており、初心者用の3キロメートル、初級者用の5キロメートル、中級者用の7キロメートル、上級者用の10キロメートルの4つのコースがある。

 縦横に張り巡らされている作業道をNPOの会員が実際に歩いて距離を計測、地権者の承諾を得てコース設定した。道幅は、すべて2~3メートルあり、選手が並んで走ることも可能だ。

 大会は、既存コースを周回するように設定された21キロコースと42キロメートルの2部門に、初開催にも関わらず男性79人、女性27人の合計106人がエントリー。イギリス、オーストラリア、アメリカ、カナダ、メキシコ、スペイン、イタリア、フランス、ハンガリーなど21か国から、専門誌に取り上げられるような著名な選手が参加して、さながら国際大会の様相。

 参加全選手のおよそ半分が、日本に住む外国人選手という大会に「国内でこれだけの国の人々が参加した大会は、五輪などの国際的な大会以外、例がない」と驚くトレランマニアの人も。

 旧北川小学校校庭での開会式後、42キロ、21キロメートルの順でスタート。選手たちは、奥武蔵の山々の風景を楽しみながら、アップダウンのある林間のコースを力強く駆け抜けた。

 表彰式では、2部門1~3位に賞状と賞品、完走者全員に完走証が贈呈。また、大会当日賞として、11位が対象の特別賞については吾野小学校校長の小澤暁さんが獲得。小澤さんは21キロメートルに出場し、2時間26分07秒という地元出場ランナー中トップの成績を記録し、大健闘。

 優勝タイムは、21キロメートルがイギリス人男性の1時間39分18秒、42キロメートルの部がフランス人男性の4時間38分06秒だった。

 奥武蔵の森林コースを走り終えた外国人選手たちからは、「コースがとてもきれい」「走りやすく、しっかりしたコース」「第1回目の大会なのに大成功」「ボランティアが心強かった」「レースでありながら、選手同士で支え合うフレンドリーな雰囲気があって、大好き」などいった大会会場と運営を称賛する声が聞かれた。

 主催者として、飯能地方で初めての本格的トレラン大会を仕切った奥武蔵グリーンリゾートの森田会長は、「北川の地にこれだけの国の人々が訪れ、また、地域の人との交流もでき、大変良かった。トレイルを走った後でも笑顔を絶やさず、苦しい時に奥武蔵の山々が応援してくれた、だから完走できたと話すランナーの皆さんには敬服。今後も大会を続けたい」。

 また、事務局長の平沼弘さんは「大会に関わった人、全てに感謝したい。短期間のうちに良くここまで準備できたと思う。これこそが吾野地域住民のパワーだと思う。今後もいろいろな大会やトレランの講習会などを開催し、奥武蔵を国際色豊かなトレランのメッカにしたい」と話している。

 事故もなく、無事に1回大会を終えた奥武蔵グリーンリゾートは、来年3月から6月頃の間に2回大会を開く予定という。

 奥武蔵トレイルランニングスピードウェイのについての問い合わせは、NPO法人奥武蔵グリーンリゾート事務局長平沼さん(090・2677・4362)へ。