2団体600万円超の使途不明金 職員逮捕受け、内部調査で判明

「深くお詫び申し上げます」と頭を下げる谷ケ﨑市長ら

 業務で扱った男性の遺品のクレジットカードを不正に使用したとして、日高市教育委員会教育部生涯学習課主査の中村裕之容疑者(47)=狭山市広瀬東=が8月30日に詐欺容疑で逮捕された事件を受け、市が同容疑者の担当していた業務について内部調査を行ったところ、市が「日高かわせみの里ツーデーウオーク」事業を委託している日高かわせみの里ツーデーウオーク実行委員会(以下実行委)の口座から480万円、外郭団体の日高市体育協会(以下体協)の口座から130万3083円の計610万3083円の使途不明の出金があることが判明した。市は10日、飯能署へ被害届を提出するとともに、市役所で緊急会見を開き、谷ケ﨑照雄市長は、「職員の逮捕に加えこのような事案が発生し、市民の皆様の本市への信頼を重ねて損ないましたこと、また、関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけする事態になり、深くお詫び申し上げます」と頭を下げた。

 市の発表によると、同容疑者が担当していた業務を調査したところ、実行委の普通預金通帳が見当たらず、また、体協の定期預金の口座から使途不明な出金があることが判明。その後、不明となっている実行委の普通預金通帳の取引履歴照合表を金融機関から取り寄せたところ、実行員の普通預金口座からも使途不明な出金があることが分かった。

 実行委の普通預金通帳からは、今年5月7日に400万円、6月18日に80万円の出金があり、体協の定期預金からは今年8月7日に130万3083円の出金があった。

 これらの通帳については、同容疑者の勤務していた生涯学習課市民スポーツ担当が管理し、通帳は書庫に入れ施錠した状態で保管、担当主幹と同容疑者がそれぞれ鍵を所持していた。届出印については、実行委のものは担当主幹が自席の事務机内、体協のものは予備の事務机内で管理していたが、こちらについては施錠をしていなかったという。

 実行委に対しては市から委託金として年500万円が支出、体協については補助金が年335万円支出されており、使途不明の出金があった後の8月30日時点の残高は、実行委の普通預金が17万1446円、体協の定期預金は120万2151円となっている。

 市は10日、実行委と体協の名で飯能署に被害届を提出。今後は捜査に全面的に協力するとともに、使途不明金の回収に全力で取り組むとし、再発防止策として、通帳や届出印は管理職が管理し施錠を徹底するなどの再発防止策を講じるなどとしており、谷ケ﨑市長は「今後は事実関係の把握、原因の究明を進めた上で、信頼の回復と再発防止に全力で取り組んで参る所存です」としている。