水柱が十数メートル マンホールの蓋が宙に

現場には水しぶきが上がり、消防隊員が駆け付けた(読者提供)

 「5時頃にマンホールの蓋が飛び、水しぶきが上がった」。26日早朝、飯能市飯能の路上で水道管の故障により、水道水が目測で高さ十数メートル以上(3階建ての建物の高さを超える)吹き上がり、消防車も出動する騒ぎになり、付近は一時騒然とした。

 現場は飯能市民プールから南西に約200メートル、県道飯能名栗線から北に約50メートル進んだ住宅街の道路上(幅員約4メートル)。道路から水柱が上がったのは、早朝5時頃。

 現場の目の前に住む島田美智子さん(63)は、「朝の5時頃にドカンと音がして、外へ出てみたら道から水が吹き上げていた。断水にはならなかったが、水しぶきが庭にかかって水浸しになってしまった」と興奮冷めやらぬ様子で話し、理髪店を営む松保克巳さん(75)は「5時頃にマンホールの蓋が飛んで、水しぶきをあげた。10時頃には消防など大勢の人が集まって来て修復工事が始まった。一時はどうなるかと思ったが無事に修復されたようでよかった」と、当時を振り返り胸をなでおろす。

 近くの飯能市民プールも、万が一に配慮し終日営業を臨時休業した。

 原因は、水道管の空気弁の故障。水道管内の水に含まれる空気が少量ずつ分離し、水道管内に溜まると水の流れが滞るため、空気弁は、この空気を逃す働きをする。この壊れた水道管は、敷設から約50年間経過した老朽管のため経年劣化し、空気弁が機能しなくなったらしい。

 この水道管は、本郷浄水場から本郷配水場への送水管で、一般家庭への配水管が、太さ13ミリか、20ミリなのに対し450ミリもある水量の多い太い管だったため、水が高く吹き上がったらしい。

 浄水場から配水場に送水し、市街地に水を供給する主要幹線に当たり、水が噴出した時間が、各家庭で多くの水を使用する朝食時に差し掛かり、水の流れを止めると水の供給量が著しく少なくなる事が予想されたため、飯能市水道部では、午前9時50分から送水側ポンプを止め、復旧作業に取り掛かった。

 市では、平成30年度から、漏水等修繕管理業務を市水道事業協同組合に委託しているが、今回の漏水箇所は、送水管が大きく流出流量も多かったため、市の職員も14人加わり復旧作業に当たり、断水を招くことなく、11時15分頃復旧工事を終えた。

 29年度には、市内で漏水や水道のボックス等の修繕作業が約350件も発生し、合計で約3900万円の市の予算が投じられている。

 しかし、水道工務課の話では、各家庭に繋がる細い配水管からの漏水修繕が多く、450ミリもある太い管からの漏水は記憶がない、という。また、本郷浄水場から本郷配水場の送水管で、空気弁が設置されているのは、故障した1か所だけではないか、と話す。

 現在、現場から約80メートル西に、飯能大河原線の整備工事が進められているが、本郷浄水場からの送水管(太さ400ミリ)は、この下に新設される計画で、31年度か32年度に、現在の老朽化した送水管は廃止になる事が決まっている。