日高市公共下水道へ接続 入間西部衛生組合清掃センター、2年かけ整備

市公共下水道との接続など施設整備が行われる入間西部衛生組合清掃センター

 日高市と入間市で組織される入間西部衛生組合が管理運営し、両市で排出されたし尿等を収集・運搬して共同処理する日高市上鹿山の清掃センターが、老朽化に伴い、平成30~31年度の2年をかけ整備される。このほど同組合議会の議決を経て工事請負契約が締結され、日高市議会(大川戸岩夫議長)全員協議会で市執行部より報告が行われた。

 同施設では現在、搬入されたし尿等を低希釈高負荷脱窒素処理・膜分離処理と呼ばれる処理に加え活性炭吸着による高度処理を行って小畔川へ放流しているが、整備後は、脱水機で汚泥と液体に分離し、分離液を希釈して日高市の公共下水道へ放流する「固液分離方式」へ処理方法を切り替える。

 同組合は入間市の田中龍夫市長が管理者、日高市の谷ケ﨑照雄市長が副管理者を務め、同組合清掃センターで両市から排出されるし尿を共同処理。

 管理棟、投入棟、処理棟の3施設で構成される同センターは昭和42年に稼働を開始し、人口急増や環境基準の厳格化に対応するため、同48年、56年の2度にわたり処理方法の変更・増設を行い、平成13~14年には生活環境の保全、公衆衛生の向上、公共下水道の普及によるし尿の減少を考慮した大規模改修工事を実施し、現在に至っている。

 全協での市執行部の説明によると、現施設は昭和56年の増設から36年、大規模改修からも15年が経過し、老朽化が著しくなっていることから、圏域から排出されるし尿等の処理を効率的・効果的に行うため日高市公共下水道へ放流するための整備工事が計画された。

 市公共下水道への接続については、平成26年2月に入間西部衛生組合より市公共下水道への接続可能性の検討依頼の照会があり、市議会全員協議会で協議し、同年6月に同組合へ公共下水道への流入は可能と回答。その後、整備計画が検討され、29年8月には市議会全員協議会で整備工事の具体的なスケジュール、処理方法が報告された。

 今年4月に行われた入札では、審査基準を明らかにし、請負希望者を公募した上で参加資格審査、技術提案書の審査を実施することにより、施設建設工事への適合性が高い業者を選定するため、公募型指名競争入札により、水処理施設の運転・維持管理を専門的に行っている株式会社クリタス(東京都豊島区)が落札。契約金額は税込で12億9600万円。

 工期は32年3月31日までの2か年で、実施設計、土木建築工事、設備工事、管理棟・投入棟の改修工事のほか付帯工事、試運転等を行って完成に至る。

 全協で議員からは施設整備費の入間市との負担割合について質問が挙がり、市担当者は、組合規約に基づき人口割合で費用負担を算出するとし、昨年10月1日時点の人口割合が入間市72・5、日高市27・5となっていることから、「日高市の支出金は単純計算で3億5640万円と算出される」と答えた。

 整備後の新たな処理方法となる固液分離方式は、搬入したし尿等からごみを取り除き、脱水機で固体(汚泥)と液体に分離後、分離液を下水道に放流できる水質基準まで希釈し、下水道に放流する。

 現在は処理棟で処理された水が管を通って小畔川へ放流されているが、整備後は、投入棟で固液分離を行い希釈して公共下水道へ放流し、市浄化センター(高萩)で最終的な処理が行われることになるため、処理棟の機能は不要となる。