秩父御嶽神社の麓に完成した里宮遥拝殿

秩父御嶽神社の麓に完成した里宮遥拝殿

 飯能市坂石の秩父御嶽神社(鴨下清司宮司)が建設を進めていた里宮遥拝殿(さとみやようはいでん)が完成し、22日、竣工祭が執り行われた。同神社は境内に立つ東郷平八郎元帥(1847~1934年)の銅像から東郷公園の名で親しまれ、秋の紅葉をはじめ四季折々の自然が楽しめる名所としても知られる。本殿は石段を登ったはるか頂上にあり、今回、建設された里宮遥拝殿は高齢者など山を登るのが困難な人々が麓で参拝することのできる拝殿として、各種祈願などを行う。

 秩父御嶽神社は、地元に生まれ育ち母の病を癒すため木曽御嶽山の行者となった鴨下清八氏(1863~1956年)が明治27年(1894年)、木曽御嶽山を本山と仰ぎ、その分霊を祀って創建した。

 境内には、日露戦争時にロシアのバルチック艦隊に勝利し、尽忠報国、質実剛健の持ち主として世界三大提督の一人と称されている東郷元帥の精神を後世に伝えるため、元帥の銅像を建立。鴨下氏は当時、生前の銅像建立を固辞していた元帥のもとを80回以上にわたり訪ね、ついに承諾を得た。大正14年4月に行われた除幕式には東郷元帥本人が出席している。

 元帥像の立つ山の中腹から一直線に伸びる368段の石段を登り切ると、頂上の本殿へとたどり着く。境内には祈祷殿のほか、乃木希典大将の銅像、砲弾によって砕かれた戦艦三笠の甲板の一部や海軍省から下賜された記念品などが点在している。

 今回、里宮遥拝殿が建設されたのは、山の麓となる一の鳥居をくぐった社務所近く。ここには、神社の会合や直会(なおらい)などを行う場所として利用されていた「里宮会館」があったが、昭和8年の建築から80年以上が経過し老朽化が目立っていたことから、同会館を解体し、頂上へ向かうのが困難な人々が参拝や各種祈願を行うことのできる遥拝殿を建設することになった。

 建設にあたっては、同神社を崇敬する「丸い講」の人々を中心に多くの寄付が寄せられ、完成した遥拝殿は、延床面積約52平方メートル、切妻造妻入の形状、屋根は銅板葺、材には西川材を活用し、開口部を大きく設け光を取り込むなどの工夫が施された。

 講元や建築関係者などが多数参列した竣工祭では、修祓、降神の儀、祝詞奏上、大祓詞奏上、朝日舞奉納、玉串奉奠、昇神の儀などの神事が厳かに行われた。その後は、ヘリテイジ飯能に会場を移して竣工祝賀会が開かれ、同神社の鴨下宮司、崇敬会丸い講総務(代表)の金子堅造さんの挨拶に続き、施行者の細田建設、遥拝殿前に灯籠一対を奉納したもみじまつり実行委員会、長胴太鼓を奉納した里宮勤行会への感謝状贈呈、施行者代表挨拶、工事経過説明が行われたほか、余興として飯能出身の太神楽師・鏡味仙成さんによる太神楽が披露された。

 鴨下宮司は、「明治28年に先々代の鴨下清八翁が創建し、130年余りが過ぎた。私の代において、このような一大事業を無事に執り行うことがでたのは、歓喜の極み。これも皆様の温かなご支援、ご協力の賜物。日々のご参拝や祈願に役立てて参りたい」と感謝を述べた。